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ピンク・フロイド、リック・ライトのユニークなスタイルにもスポット当てたラスト・アルバム『永遠(TOWA)』で描く美しい終わり方

(C)Harry Borden

 

ピンク・フロイドがピンク・フロイドの為に作ったレクイエム

 すごくいい! この言葉から始めたい。何も考えずに、聴くだけでそういう気持ちが湧いてくる。

 僕はデヴィッド・ギルモアが作り上げた80年代のピンク・フロイドのファンではなかった。80年代のアルバム『鬱』も、ツアーも見に行ったが、しっくりこなかった。しかし、90年代の『対(TSUI)』はすごく良かった。リック・ライトニック・メイソンの全面的な参加がバンドとしての良さを出していた。

PINK FLOYD 永遠(TOWA) Pink Floyd's Record/Columbia/ソニー(2014)

 このアルバムはDVD、ブルーレイの5.1で聴くのが良い。初めて5.1を体験したのはピンク・フロイドのアルバムだった。ジェネシスもだが、プログレのサウンドは5.1に向いている。71年の『おせっかい』ツアーのピンク・フロイドを見た時でも、すでにサラウンドの効果音が会場を囲んでいた。『狂気』『炎』やこのアルバムも5.1のサウンドの海に囲まれるとすごく気持ちが良い。サイケデリック・トリップと思うほどだ。

 デヴィッドはライトがどれだけ重要なプレイヤーだったか気づかなかったのではないかと思う時もあったが、このアルバムはライトのユニークなスタイルにスポットを当てたかったと語っている。

 シングル「ラウダー・ザン・ワーズ」より:『僕たちは不満を漏らし 衝突する、顔を合わせれば互いを非難し合うけれど、こうして一緒に事に臨む。僕たち皆が一つになれば、言葉以上のものを伝えられる。言葉に出来ないものを。』この歌詞を書いた、デヴィッドの妻でリリシストのポリー・サムソンは、ピンク・フロイドの歴史が彼女の念頭にあったことを認めている。

 「ピンク・フロイドは、そのメンバーのユニークなコンビネーションで、4人の力以上の大きなものが出ていた」とデヴィッドは語っている。ロジャー・ウォーターズとは2005年のライブ8フェスティバルで久しぶりに一緒に演奏したが、その時、ロジャーは昔ながらのディレクターの立場を再び取ろうとして、彼とやって行く事は無理だとデヴィッドは確信したようだ。

 これがピンク・フロイドがピンク・フロイドの為に作ったレクイエム。美しい終わり方だ!

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