カナダ発の人気美人シンガー、ヘイリー・ロレンの最新作。何度かの日本での来日公演で今やすっかりお馴染みの存在。本作はスタンダードを中心に選曲された楽曲にオリジナル曲もおりまぜたムーディでノスタルジックな内容で、曲によってギターが入ったり、ホーンがフィーチュアされたりする多彩な編成でそのスモーキーな歌声が楽しめる。1曲目のスタンダード“アイ・ウィッシュ・ユー・ラヴ”はフランス語の歌唱で聴かせ、粋なヨーロピアンな香りを振りまくところはオシャレ。ラテン・フレイヴァーあり、ブルージーあり、ラストはホレス・シルヴァーの美バラード“ピース”が心を打つ。


 

程良くスモーキーながらも素直な歌い方で、日本にもファンの多いヘイリー・ロレン。この新作ではジャズ・スタンダードを多く取り上げているが、原曲が深度のある〈ジャズ〉であっても、彼女が歌えば〈ジャジー〉。そうした親密さが強みだとよくわかる作りになっている。ピアノとパーカッションだけでさらりと粋に歌う“I’ve Got You Under My Skin”がその好例。自作曲におけるソウルフルな感覚もなかなか新鮮だ。