桑原あいトリオ・プロジェクトの通算4作目となる今作は全曲カヴァー曲集という内容で、前作『the Window』の若さ溢れる先鋭さを華麗に裏切ってくれる素晴らしい一枚となっている。確かにこれまでのアルバムでも、そのセンシブルで美しいピアニズムを披露してきたけれども、ここでは原曲がもつ旋律美や躍動感といったものを、しっかりと自己の音楽として描いて行く様に、桑原あいの引き出しの多さと懐の深さを再認識させられる。アコースティック・ベースに加え、若手No.1の呼び声も高い石若駿がドラマーとして参加していることも、今作の大きな注目だ。