COLUMN

リアノン・ギデンズやパンチ・ブラザーズなど、名匠T・ボーン・バーネットが仕掛けるUSルーツ音楽のモダンな魔法

MAESTRO OF NEW AMERICANA

 ボブ・ディランの未発表歌詞にエルヴィス・コステロらが曲を付ける企画盤『Lost On The River』のクレジットにも、やはり名前のあったT・ボーン・バーネット。最近の旺盛な実験精神を感じさせるアメリカーナ作品の影には、必ずこのプロデューサーの存在がある――そう言いたくなるほど、彼の関わった充実作が次々と到着している。

 

 

 まずはキャロライナ・チョコレート・ドロップスの紅一点、リアノン・ギデンズのソロ・デビュー作『Tomorrow Is My Turn』。T・ボーンがプロデュースを買って出たという本作では、フォーク、カントリー、ゴスペル、ブルースなど多彩な要素を束ねながら、立体的かつ奥行きのあるUSルーツ音楽地図を描いていて、その仕事ぶりはあっぱれだ。濃密かつ陰影のある雰囲気もまたT・ボーンらしい。

RHIANNON GIDDENS Tomorrow Is My Turn Nonesuch(2015)

 

 

 

 お次はプログレッシヴなブルーグラス集団、パンチ・ブラザーズの4作目『The Phosphorescent Blues』だ。T・ボーンが関わったコーエン兄弟の映画「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」のサントラでも活躍していた彼ら。両者の交わりの行方が気になっていたのだが、こんなパンチの効いた一枚を用意していたとは。トラッドとポップの混ぜ具合が絶妙で、バンドが過去最高に大胆なはみ出し方を見せるあたりに、T・ボーンとの相性の良さが読み取れたりも。

PUNCH BROTHERS The Phosphorescent Blues Nonesuch(2015)

 

 

 

 最後は、リアノンやパンチ兄弟も参加したライヴ盤『Another Day Another Time: Celebrating The Music Of Inside Llewyn Davis』。〈インサイド・ルーウィン・デイヴィス〉の音楽をテーマにしたイヴェントの取りまとめを、T・ボーンが担当している。コステロ、ジャック・ホワイトマーカス・マムフォードら適任者が、60年代のグリニッジ・ヴィレッジで流れていたフォーク・ソングにふたたび命を吹き込んでいく一夜の記録は、静かな感動を呼ぶことだろう。

VARIOUS ARTISTS Another Day Another Time: Celebrating The Music Of Inside Llewyn Davis Nonesuch(2015)

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