雌伏の期間を過ごしたシンガー・ソングライターが、いま芽吹きの季節を迎える!

 少しうつむき気味で窓辺に佇む彼女の儚げな表情は、その歌声を映しているかのよう。TVアニメ「七つの大罪」の新エンディング・テーマとしてオンエア中のシングル“Season”でデビューするのが、この新進のシンガー・ソングライター、瀧川ありさだ。

 中学時代からバンド活動を行っていた彼女は、2009年に当時組んでいたグループで〈閃光ライオット〉のオーディションに参加。その時の音源が関係者の耳に留まるもバンドは2012年に解散し、一時は音楽の道を諦めることも考えていたという。しかし、彼女の歌声に魅せられた周囲の人々の応援もあり、ソロで活動していくことを決意。雌伏の時期を経て、今回のデビューに至った。

瀧川ありさ Season ソニー(2015)

 表題曲の“Season”は、ドラマティックなロック・サウンドと澄んだピアノリフの対比が耳に残るアップ・チューン。アニメ主題歌らしい起伏に富んだ曲構成もあって、例えば藍井エイルを思い出したりもするが、瀧川のクリア・ヴォイスに滲む壊れそうな儚さは特別なものだ。

 そして何より彼女の書くメロディーが素晴らしい。特に2曲あるカップリングのうち、都会で惑う〈ふたり〉を描いたミディアム“ふたりよがり”の切ない響きは、美メロ・メイカーとしての非凡な才能を感じさせる。彼女の季節は長い冬を終え、いま春を迎えるところだ。