2008年の結成以降、マイペースに活動してきた4人組が2作目でメジャー・デビュー。ceroら周辺のバンドがインディー・シーンをベースとし続けるなかで意外とも思えるが、本作は、新たな舞台でもその価値を十分に証明するであろう傑作だ。矢野顕子にも通じる中川理沙の柔らかくも芯のある歌声を、スティールパンやトランペットなどが色鮮やかに彩り、ジャズ~カントリー~トロピカル・ポップを横断する楽曲は、どれもじんわりと胸に沁みる良曲ばかり。さらには、一曲のなかでプログレッシヴに展開するリズムのおもしろさも格別で、音楽がインスタントに消費されることも多い現代において、じっくり曲と向き合う体験の素晴らしさを改めて伝えてくれる。すべての心ある音楽ファンに届いてほしい。