ロック、エレクトロサウンドを大胆に導入した前作から僅か8か月で届けられたホセ・ジェイムズ最新作は打って変わって実にオーセンティックなビリー・ホリデイ集。ルーツであり心の師として敬愛するビリー・ホリデイの歌った名曲たちを、お馴染みの面子ではなくジェイソン・モラン(ピアノ)、ジョン・パティトゥッチ(ベース)、エリック・ハーランド(ドラムス)というこの作品の為に選ばれた現代ジャズ屈指のピアノトリオとともに丁寧に愛情深く歌う。これまでの作品と並べるとインパクトという点では地味に感じさせもするが、その分彼の素晴らしい歌声が一層際立つ。これは長く愛聴できそうだ。