SERIES

【SANABAGUNのSANABA談】Vol.3 隅垣元佐(ギター)が選ぶSANABA盤!―ジャズ・ギタリストの井上銘、メロウ・レゲエの詩人・ミシカ

いま注目のストリートなバンドのメンバーが自身のターニングポイントとなったアルバムを紹介!

【SANABAGUNのSANABA談】Vol.3 隅垣元佐(ギター)が選ぶSANABA盤!―ジャズ・ギタリストの井上銘、メロウ・レゲエの詩人・ミシカ

渋谷のストリートを拠点にライヴを繰り広げている巷で噂のジャズ/ヒップホップ・バンド、SANABAGUN。 スキルも確かなプレイヤーたちが鳴らすジャズやファンク、ブレイクビーツにラップ&ヴォーカルを乗せたクール極まりない彼らの音楽は、いったいい かにして生まれたのか――それを炙り出すべく、サナバの構成員に自身の滋養となっているアーティストの作品をカメラの前で紹介してもらう連載、第3回! 今回も高岩遼(ヴォーカル)、岩間俊樹(MC)のフロント・コンビを進行役に、SANABAGUNの映像コンテンツを担う川村静哉監督のもとお届けします!

そんな第3回は、イケメン揃いなサナバにあってエキゾティックな面差しで乙女心を震わせるギタリスト、隅垣元佐(すみがきつかさ)が登場。彼がギターの道へ進むことを決意させたジャズ・ギタリスト、井上銘の初作に、〈メロウ・レゲエの吟遊詩人〉とも言われるシンガー・ソングライター、ミシカの作品を紹介してくれますよ! なお、毎度の如く、映像に収められなかった作品解説はテキストに起こしておりますので、併せてご覧ください!

 


 

【前編】

 

高岩「こんばんは、始まりました、記念すべき第3回目の〈SANABAGUNのSANABA談〉。今回は待ちに待ちましたサナバ一のモテ男、隅垣元佐インダハウス!」

一同:パチパチパチパチ

高岩「今回は隅垣元佐がやってまいりました、サナバきってのエキゾチック野郎(笑)。企画の内容は、わかるよね?」

隅垣「うん」

高岩「YouTubeの再生回数は、ツカサが1位を狙っていくべきだよね」

隅垣「OK OK OK」

高岩「淡々とおもしろいことやっても……いや(笑)、淡々と真面目にやっててもしょうがないので、楽しくやりましょう。ではさっそく紹介してください」

隅垣「MAY INOUE(井上銘)で『FIRST TRAIN』です」 

井上銘 FIRST TRAIN ユニバーサル(2011)

高岩岩間「オー!」

高岩「メイくんてさ、聴くところによるとさ、素晴らしいジャズ・ギタリストで、(ツカサの)旧友らしいじゃん!」

隅垣「旧友だね。結構マジなストーリーがあるんだけど、俺が大学入った→つまんない→放浪始める――その最初の放浪の時に、行きの飛行機の中で流れてたんですよ。俺は(これがメイくんだと知らなかったんだけど、聴いたことあるギターだなと思って名前をチェックしたらメイくんだった。そこでメイくんがデビューしたことを知って。それで俺は(放浪から)帰ってきてから真面目にギター弾こうと思ったんだよね」

岩間「彼とはいつ知り合ったの?」

隅垣「高校の同級生」

岩間「ギターやる前から?」

隅垣「ギターをやりはじめた頃だね」

高岩「それまではラッパーだったんでしょ?」

隅垣「そう、俺ラップやってたんだよ(笑)」

岩間「知ってるよ。最初、SANABAGUNの原型のライヴをツカサが観に来てて、〈このバンド、ギターいねえ〉じゃなくて、〈ラッパーいる!〉っていう目線で見てたっていう話をこないだしてたよね」

隅垣「アハハ、したかもしれない」

高岩「つまりメイくんのこのアルバムを聴いてなかったら……」

隅垣「ギターを弾いてない!」

高岩「ツカサがSANABAGUNにいなかったかもしれない」

岩間「それかラッパーとして入っていたかもしれない」

隅垣高岩「あり得るね」

岩間「このアルバムはどういうところがいいの?」

隅垣「1曲目の“First Train”。これは聴いた瞬間にメイくんだってわかる」

岩間「例えば、こういうところに注目して聴いてほしいっていうのはある?」

隅垣「あ~……メイくんはもともとツェッペリンとかが好きだったから、そういう(ハード・ロック的な)要素もあるんだよね。実際にカヴァーもしてるし。だからジャズに留まらず幅広いリスナーに楽しめるアルバムだと思います」

岩間「では聴いてみましょう」

高岩「……今日はすごいね、岩間俊樹のMCだね(笑)」

一同:笑

岩間「覚醒してるね(笑)」

高岩「違うよ、今日は二日酔いで、ここにビールがないからです(笑)」

岩間「シラフです」

隅垣「ではMAY INOUEで“First Train”」

隅垣「リベラル(岩間)はさ、こういうのをどう聴くの?」

岩間「あ~……楽器が上手いとかは正直わからないから、インスト・アルバムだと心地良さとかそういう点だよね」

隅垣「意外と真面目に答えんだな(笑)」

岩間「もう1回訊いて」

隅垣「リベラルは、こういうアルバムをどう聴くの?」

岩間「俺ラッパーだし、ラップ乗せられるか乗せられないかだよね」

隅垣「じゃあ試しにさ、乗せてみてよ(笑)」

~「リベラル、無理やりラップを乗せてみた」は動画でお楽しみください~

高岩「これ(“First Train”)はオリジナルの曲なんだね」

隅垣「そうそう」

高岩「これを聴いて、メイくんだと思ったわけだ」

隅垣「そうそう、ウワァって思って」

高岩クラプトンの“Change The World”もカヴァーしてるんだね」

【参考動画】エリック・クラプトン“Change The World” ライヴ映像

 

隅垣「いろんなのやってるんだよね。ロックの人の曲も結構やってる」

高岩「ほかにメイくんの素敵なところは?」

隅垣「20歳くらいでこのアルバムを作っているし、衝動的というか何かが溢れている感じがヤバイ。ちゃんとここ(ジャケ)にメッセージも入ってる」

高岩「僕的には7曲目の“Darn That Dream”っていうジャズのスタンダード、ジミー・ヴァン・ヒューゼンの曲なんですけど、これはとても難しい曲で、僕も苦戦した記憶があります。後でじっくり聴きたいと思います」

【参考動画】アーマッド・ジャマル・トリオによるジミー・ヴァン・ヒューゼン作“Darn That Dream”
59年のパフォーマンス映像

 

【後半】

高岩「では記念すべき2枚目を視聴者の皆様へプレゼンしてください!」

隅垣「2枚目は、ミシカで『Mishka』です」

岩間「ミシカミシカ!」

高岩「ミシカミシカ! ジャケットからなんとなく内容が見えてくるね(笑)」

MISHKA Mishka Creation(1999)

隅垣「そうだね(笑)」

高岩「これはまたどうして(選んだの)? 僕たちは〈MISHKA〉っていうストリート系のブランドしかしらないけど(笑)」

隅垣「これは単純に俺が寝る時によく聴くアルバム。なんでこれかっていうと、ミシカが育った場所がおもしろくて、彼はバミューダ島で生まれて、15歳まで船の上でずっと生活をしていたというアーティストなんですけど、聴いた瞬間に波のグルーヴが伝わってくるんだよね、大きい揺れが。だから心地良く眠れるっていう」

岩間「お前ね、(海は)そんな甘いもんじゃないから。言っとくけど」

隅垣「やっぱ(笑)」

岩間「波のグルーヴ!?」

高岩「というのも……」

岩間「実はわたくし元・船乗りです(笑)。高校を卒業してすぐ、神戸気象台の観測船の機関手をやっていたんです。でも俺も自分のラップに……波のグルーヴ出ちゃってるね……」

一同:苦笑

隅垣「噂に聞いたんだけど、でも水はちょっと苦手らしいね……」

岩間「水、全然好きだよ、俺。結構飲むし。1日2リットルくらい飲むし」

一同:……。

岩間「ただ僕は、泳げません。船乗りですから」

高岩「泳ぐ必要ないもんね」

岩間「船乗りは、落ちたら〈死〉です。沖合の場合は。だから泳ぐ必要はありません――で、波のグルーヴですが、聞き捨てなりませんよ」

高岩「このアルバムで特に好きな曲とかあるの?」

隅垣「全体的にいいんだけど、個人的に好きな曲は6曲目の“Johanna”」

高岩「とりあえず聴いてみましょう!」

隅垣「ミシカで“Johanna”……あれ?(ケースに盤が入ってません)」

岩間「なんもおかしくねえぞ、お前」

高岩「メイくんのケースに入っちゃってるんじゃない……? お前これ、家で予習してそのまま忘れたパターンじゃないのか?」

隅垣「ちょうど朝聴いて……そのまんまだ」

高岩「お前遊びじゃねーんだよ、取ってこいよ!」

隅垣「じゃあ……横浜に取りに行ってきます……」

~隅垣待ちの時間に行われたMC2人のショート・コントは動画にてお楽しみください~

高岩「じゃあ改めて6曲目“Johanna”を」

高岩「すげー、やっぱ感じるわ」

隅垣「これ夏の日の夕暮時とかに聴くと、めっちゃヤバイ」

高岩「これってお前、デートの時に彼女に〈なんか聴く? ミシカの“Johanna”聴こうよ――俺さー、お前のこと好きだわ〉とかやってんだろ!(パシッ)」

一同:笑

高岩「これはどういうところにグッとくるわけ?」

隅垣「この人が生活している場所の空気感が閉じ込められてる感じかな、すごい情景が浮かぶ」

高岩「あ、そういえばお金が出来たら何買うんだっけ?」

隅垣「海沿いに小屋を建てます」

高岩「そして? ほら……」

隅垣「小屋を建てる島ごと買おうかなと思ってます」

高岩「〈隅垣島〉作るんでしょ?」

隅垣「そうなんですよ、そこに住んで、1日1曲ラジオで弾き語る、っていうのをやりたいの、俺」

高岩「何年後?」

隅垣「6年後くらい(笑)」

高岩「スゲーな(笑)。その時にこの“Johanna”を弾いてね。じゃあもう1曲紹介しようよ」

隅垣「じゃあ、この1曲目の“Give You All The Love”」

高岩「あー、感じるな。俺は岩手の宮古、リベラルは青森の三沢で、ツカサも横浜で……つまり俺たちSANABAGUNきっての海男だよな。だからこういう曲ってグッとくるよな……潮風を思い出すっていうかさ……。なんとなく、アルバム全体の空気感は同じだけど、歌ってる内容が違うと思うんだよね」

一同:笑

高岩「そこを説明してくれない?」

隅垣「全体を通してサウンドの雰囲気は一緒。ひとつの場所の空気感を閉じ込めてる感じだから。歌詞は……彼はラスタなんだよね。隼太の回でも出てきたけど」

高岩ローリン・ヒル?」

隅垣「うん。でも彼はよりピースな方向でラスタを解釈してると思うんだよね(笑)」

高岩「どうするの、全然違かったら!」

隅垣「とはいえまあ……ラヴソングっぽいんだけどね(笑)」

高岩「どう? 波のグルーヴってやつ、思い出すだろ? 海の上での生活を」

岩間「……思い出す(無理やり)」

40周年プレイリスト
pagetop