アンドレイ・タルコフスキー後期の傑作が最高画質・最高音質で甦る。更に池澤夏樹の書下ろし原稿まで付いてくるという! 本作は、イタリアで撮影され完成後亡命し故国ソ連へ戻らなかったタルコフスキーにとっての〈ノスタルジア〉。死期を悟った小説家というこの映画の主人公は、勿論タルコフスキー自身でもあるだろう。「ロウソクに火を灯し、それを消すことなく温泉の広場の端から端まで渡れたら、世界が救済される」という狂人の言葉を信じて、失敗を繰り返しながら実行する主人公。その息詰まるクライマックスの長廻しを、真剣に見るのが〈芸術〉であり、まるで早すぎたシャマランだと見るのが“映画”である。