ABSの黄金時代

思い出話

スタジオ作業の日々でも聴けるベトナムのブルースマン、キム・シンと、思い出話と共に綴るDA PUMPの〈元気が出る〉曲について

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  • 2015.04.20

春真っ盛りですが、皆さんいかがお過ごしですか。僕はここ最近はというとスタジオにこもりっきりだった。家とスタジオとの往復を繰り返す毎日だったので、どんどん世間と自分が離れていくような気分だったけど、ふと気づいたらちょっと痩せていて(スタジオだとメシを抜きがち)、「これは現実だ」と思ったのだった。

僕はAlfred Beach Sandalという音楽ユニットをやっている北里というものですが、このたびMikikiで日記をつけさせてもらえるということで、いろいろなんやらかんやら身にならないこと中心に書いていきたいと思います。YouTubeあったら別に俺が音楽紹介する必要なんかないじゃん。インターネットがなかった時代はもはやはるか彼方ですね…。

そんなこんなで、スタジオでの日々はどうしたって自分の音楽ばっかり聴くことになるので、それ以外の時間はあんまり音を聴きたくなくて、家の近所の公園を歩き回ってみたり、公園で酒を飲んでみたり、要するによく公園にいた。それでも、そういうあまり音楽を積極的に聴きたくない気分の時でもこれは聴けるな~というのがあって、ちょうどスタジオで作業中に教えてもらった、ベトナムのギタリストのKim Sinhキム・シン)がそれでした。

キム・シンの“Dinh Lan - Tan Phong”

 

1930年生まれで幼少時から音楽家として生き、ダングエットというベトナムの弦楽器やアコースティック・ギターを弾く方なのですが、そのアコギのフレット間の指板が削られてえぐれていて、独特の作りになっている(ベトナミーズ・ギターというらしい)。ビヨヨ~ンというベンディングと乾いたサウンド、キレキレの演奏。ベトナムのブルースマンといっちゃえば言葉は軽いが、めちゃくちゃすごいのに全く身構えさせずにスッと入ってくる音楽で、素晴らしい音ほど「聴かせたい」とかそういうエゴとは無縁なのだなと強く感じた。

しかし、それにしてもヒキコモリ生活はあんまり心によろしくなく、ちょっと油断するとモノのように床に寝転がったままという感じになってしまうので、なにか元気と勇気が出るようなのが欲しいと思って、ある時期からはDA PUMPの“Feelin' Good ~It's PARADISE~”ばかり聴いていた。これはとても良い曲だし、なんといっても元気が出るのだ。スタジオへと向かう道すがら、まさに好き好きパワーいい感じだった。

DA PAMPの97年のシングル“Feelin' Good~It's PARADISE~” パフォーマンス映像

 

思い出話になるけども、僕は中学の時に家の都合などで静岡から東京に引っ越してきました。引っ越して数ヶ月後、入ったばかりの学校のクラスメイトに誘われて、今はもうなくなってしまった吉祥寺の映画館に、SPEED主演の映画「アンドロメディア」を見に行った。

98年の映画「アンドロメディア」の一部

 

映画そのものについてはあんまり掘り下げても仕方ない感じなんで、あらすじはWikipediaを見てほしいのだけど、その中でDA PUMPがSPEEDの男友達連中としてちょろっと出てくるシーンがあって、物語とはまったく無関係に(マジで1ミリも関係ない)〈Feelin' Good〉を突然歌い踊るのだ。絶賛売り出し中の若手グループが、事務所の先輩アイドル主演映画のなかでデビュー曲を歌うっていう、要はバーター広告コーナー以外のなにものでもないのだけど、映画を見ながら慣れない都会での生活を始めたばかりの12歳の俺は思った。「良い曲だなァ~すごい元気出るなあ~」

 


 

【Alfred Beach Sandalよりお知らせ】

★4月22日にニュー・シングル“Honeymoon”をリリース!

Alfred Beach Sandal Honeymoon felicity(2015)

また、この“Honeymoon”を引っ提げて、同日に『Wang LP』をリリースする王舟との2マンで〈ABS「Honeymoon」&王舟「Wang LP」ダブルリリースツアー“Wang’s Honeymoon”〉を敢行! 5月8日(金)の東京・渋谷CLUB QUATTROを皮切りに、大阪と名古屋で開催されます。また、5月1日(金)には本ツアーの〈前哨戦〉としてタワレコ新宿店7Fイベントスペースにてインストア・ライヴもあり! 詳しくはこちらへ!

 

【プロフィール】
Alfred Beach Sandal

Alfred Beach Sandal (アルフレッド・ビーチ・サンダル)

2009年に北里彰久(ヴォーカル/ギター)のフリー・フォームなソロ・ユニットとして活動開始。ロックやラテン、ブラック・ミュージックなど、雑多なジャンルをデタラメにコラージュした上に無理矢理ABS印のシールを貼りつけたような唯一無二の音楽性で、真面目に暮らしている。2013年のアルバム『Dead Montano』以降は、岩見継吾(ウッド・ベース)、光永渉(ドラムス)とのトリオ編成を軸として、美学を突き詰め中。