20年前に発売されたイラン古典音楽の名盤が再発。イランでは珍しい主に他のアラブ圏で使用される、日本でいう琴(箏)のような台形の箱に多数の弦を張り巡らした撥弦楽器カーヌーンの演奏技法をイラン古典音楽に採り入れるという斬新な試みが為されており、ダストガーと呼ばれる旋法体系を基に奏されるカーヌーンの典雅な旋律と、装飾的にメリスマを効かせた巧みで煌びやかな歌唱が紡ぐ、ピアノでは表現できない微分音を多く含んだ絢爛壮麗な音の響きはどこか官能的ですらあるほど。器楽と声楽が分かち難く結び付き、「世界でいちばん美しい歌」と称されるイラン古典音楽の魅力を味わえる逸品。