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――クラブ活動も気になりますね。

「卒業制度があるから、メンバーが卒業しちゃうと休部になったりするんだけど、バトン部は休部にならずに引き継がれているかな。新聞部ももうないし、帰宅部もなくなった」

――帰宅部の主な活動は何だったんですか?

「パジャマ着て“めだかの兄妹”をカヴァーしたり。そういうかつての曲をリアレンジして歌ってた。それから物販を売るためのセールス・トークをする購買部というのがあったんだけど、その歌もちゃんあったりして。あとプロレス同好会っていうのもあるね」

――同好会! プロレスをやるんですか?

「リングの上で歌うんだよね。今年卒業した田口華ちゃんっていう子がお父さんの影響で新日(本プロレス)ヲタで、尊敬する人が(アントニオ)猪木なのよ。オカダ・カズチカ選手の大ファンで、毎週〈週刊ゴング〉を読んでるような子で。それで彼女のために同好会を作ってあげたというかね。曲は、オカダ選手のテーマソング“RAIN MAKER”を書いた北村陽之介さんに作曲してもらって、アナウンスは清野茂樹アナにしてもらったりとか……さくら学院はそういう作り込みがハンパない。そこのクォリティーがダントツで高いと思う」

【参考動画】さくら学院の部活動ユニットの楽曲をまとめたベスト盤『放課後アンソロジー fromさくら学院』
トレイラー映像

 

――へぇ~、それはおもしろい! 徹底的に遊んでる感じがいいですね。

「ちなみに、さくら学院の校長先生は倉本美津留さんっていうダウンタウンの番組でもお馴染みのミュージシャン/放送作家の方で、担任の先生は森ハヤシさんという脚本家。ステージの台本を書いているのは森先生だからおもしろいんだよ。プロの仕事だから本当に良く出来てる」

――なるほど~。だんだんさくら学院のおもしろさがわかってきました。

「さくら学院のイヴェント会場は基本的にすべて着席で、立っちゃいけない。サイリウムを振ったりもしない。物販で売っているフラッグがあるんだけど、それを軽く振るくらいで。それも振る曲は決まってるから、それ以外は振らない。だから観やすいんだよね。アイドルの現場を知っている人からしたら〈あれ?〉っていう雰囲気だと思うけど、2時間座って観られるのはラク(笑)」

――じっくり鑑賞できるんですね。

「あとね、すごいなと思うのはオフィシャルサイトにある〈学院日誌〉(メンバー個々のブログ的なもの)がすべて手書きなんですよ。この手書きがまた素晴らしい! 菊地最愛ちゃんのブログを見ると、字がきれいでしょ」

 

菊地最愛、2015年4月5日の〈学院日誌〉キャプチャ

 

――ホントだ!

「さらに文章も上手いのよ。ブログを直筆にすることによって、文字の変化も見られるという。小5から中3の卒業までの字を見ることができるから」

――ちゃんと卒業生のも含めてバックナンバーが見られるんですね。

「そう。菊地最愛ちゃんをソートして古い順から並べると……2010年に〈はじめまして〉という最愛ちゃんの日誌が……ほら!」

 

菊地最愛、2010年8月5日の〈学院日誌〉キャプチャ

 

――おー! 完全に子供の字ですね、これは! まるで別人ですよ。

「こうやって時の変化が見られる(笑)。顔も変わっていくけど、こういうところでも成長が見られるというね。何言ってんだ、このおじさんって感じだけど(笑)」

――ハハハハ……。

「直に接触できないけど、こういうところでパーソナルな部分を出しているところがおもしろいし新しい。もちろんアイドル・ポップスとしてのクォリティーも高いしね」

――アイドルを好きになるきっかけは、やっぱり音楽というよりもヴィジュアルですか?

「僕もヴィジュアルから入っていったよね」

――それはそうですよね……愚問でした……。

「僕、モーニング娘。を好きになったのは〈辻(希美)ちゃんカワイイな〉から始まってるから。その時、曲はイイと思ってないというか、むしろちゃんと聴いてなかったんだけど、辻ちゃんがきっかけでCD聴いてみたら意外とカッコイイじゃんって思って。そこからどっぷりハマった。ただカワイイだけだとツライけどね。だから曲もいいアイドルが好き」

――さくら学院の父兄の皆さんは、どういう方が多いんですか?

「あくまで僕の知ってる範囲だと、アニソンを聴いてる人もいるし、普通にアイドルと日本のロックやポップスを並行して聴いている人もいるし、多種多様ではあるかな。在日ファンクのライヴも行くし、さくら学院も観に行くという人も知ってる。まあアイドル好きな人っていろんな人いるじゃない?」

――年代的にメンバーと同じくらいの人だったり、女の子もいるんですか?

「女の子は少なかったね、最初は。でも最近はBABYMETALが成功した影響で、BABYMETALを入り口にしてさくら学院に興味を持つ人が増えた。この前の卒業式も、最愛ちゃんと由結ちゃんがいたから海を渡ってわざわざ観に来た海外の人もいるし、さくら学院のコスプレした子供たちも増えてる」

【参考動画】BABYMETALの2013年のシングル“メギツネ”

 

――ほー! BABYMETALの海外での人気は凄いらしいですね。ツアーもいっぱいやってますし。

「いま(5月後半時点)もヨーロッパを回っていて、これから世界中を回っていく。BABYMETALはアイドル・ファンじゃない人が夢中になったりしてるからね、メタル好きはもちろん。BABYMETALから入って、〈さくら学院っておもしろいね〉と言いはじめている人が多い気がする。他のアイドルはよく知らないけどBABYMETALとさくら学院は好きっていう人もいるんじゃないかな。まあ3人の魅力を考えたら、海外のメタラーが〈学院日誌〉や〈LoGiRL〉に辿り着いて父兄になるのにそんな時間はかからないはず」

※女性をキーワードにしたコンテンツ情報サイト。さくら学院はレギュラーで生配信番組〈さくら学院の放課後! ~学んdeマンデー!〉を担当

――アハハ……でもそういう人はいそうですね。

「BABYMETALは日本の音楽シーン全体からするとまだニッチかもしれないけど、おもしろい音楽ないかなと思っている人たちには刺さっていて、そのうちの数パーセントは(さくら学院の)父兄にまでなってしまったという」

――日本だけじゃなく、海外のメタル系フェスにもたくさん出演しているので、音楽好きからの認知度は高いですよね。

「去年は〈Sonisphere〉とかね。今年は〈レディングだよ。UKでは5000人規模の会場でワンマンするくらいだから」

※UKでもっとも有名で大規模な夏フェスのひとつ。BABYMETALは今年、メタリカがヘッドライナーとなる8月29日のメインステージに出演!

――えー! ワンマンで!?

「ロンドンのブリクストン・アカデミー」

――えー! そんなところで!! 嶺脇さんは去年、海外でもBABYMETALの公演を観てきたそうですが、現地のお客さんはどういった感じの人が多いんですか?

「パリはね、ちょうど〈JAPAN EXPO〉の時期に重なっていたので、メタラーというよりも日本のポップ・カルチャーが好きな、オタクっぽい雰囲気の人が多かったかな。日本人もいたけど、いろんな人種の人たちが観に来てた。あとドイツのライヴにも行ったんだけど、ケルン公演はね、ガチのメタラーばっかりだったんだよ。タトゥー率が高い!みたいな。みんなジューダス(・プリースト)ハロウィンとか、いろんなメタル・バンドの黒Tなの。女の子は顔にピアスを開けてるようなゴス系の子が多かったね。サブカル好きっぽい子たちももちろんいるんだけど、ドイツは本当にメタル好きな若い人がたくさん来てた。ドイツのライヴハウスではドリンクのコップも結構飛んでたし。ルール上、ステージには投げ込んだりはしないんだよ。でもヨーロッパの他の国では結構ガラの悪い人がいたりするから、最初は大丈夫かなって心配していたけど、ドイツではまったくそんな心配するようなことはなく、ただプラスティックのコップがフロアに飛ぶくらいで。ステージに立っているのが10代の女の子だから、というのもあるかもね」

【参考動画】BABYMETALの2015年のライヴDVD
「LIVE AT BUDOKAN ~RED NIGHT & BLACK NIGHT APOCALYPSE~」ダイジェスト映像

 

――へぇ~。

「そんな世界的に活躍する子たちも出てきているけど、さくら学院に入った当初はいまほどまだ歌えないし、あんまり踊れない。そんな彼女たちがどんどん成長していく過程を僕ら父兄は愛でるんです。新しい子が入ってくるとまた応援しようという気持ちも高まるしね」

――新しく6人も一気に入るとだいぶ雰囲気も変わるんでしょうね。

「フレッシュになったんでね、いろいろおもしろくなると思いますよ。転入式もおもしろかったし、さくら学院の転入式は最高に楽しいんですよ!」

――転入式では、新メンバーのお披露目以外に何かあるんですか?

「まず在校生のパフォーマンスがあって、その後に転入生を迎え入れる。それから〈生徒総会〉があって今年の生徒会長が発表されたり」

――生徒会長はどのようにして決まるんですか?

「聞くところによると、スタッフさんたちの投票で決めるらしいけど、本当かどうかはわからない」

――あ、父兄が決めるんじゃないんですね。

「そう。生徒会長以外にトーク委員長っていうのがあったり、今年は新しく入った子がたくさんいるから、その子たちにさくら学院のしきたりを教える教育委員長っていう役職ができた。トーク委員長はステージMCで何を話してどうメンバーに回すかというのを考える担当で、由結ちゃんは去年プロデュース委員長としてライヴのセットリストを考えたりしていた。自主性を重んじて自分たちでステージを作っていくという考え方だよね」

――そこまで!

「セットリストはスタッフさんと相談しながら決めてるんだけど、なぜそういう曲順にしたのかってことも日誌にちゃんと書いてくれるの。そうやっていろいろ役職があったり、さらに部活もあったり……すごいね、ホントに学校だよね」

――ハハハ、いまさらですか(笑)。新しい子が入ってくると、また新しく部活が出来る可能性もあるんですね?

「可能性はある。既存の部活も、クッキング部はこの3月で3人とも卒業しちゃったんで、新しい子たちが引き継ぐこともあるんじゃないかな。小っちゃい子が入部すれば3年、4年やれるからね」

――じゃあ今年は本当に新装開店というか、ある意味〈第2章〉の始まりの年っていう感じなんですね。

「かもしれないね。開校後初ステージを知らない子たちで構成されているから。さくら学院には〈校則七箇条〉があるんだけど、〈アイドルを超えた、スーパーレディーになる!〉とか、将来素晴らしい女性になるために努力しましょうという校則になっている。武道館公演やオリコン1位を獲ることが目標ではないっていうのも、他のアイドル・グループとは違っていいなと思う。その校則をみんな守っているから、卒業後もそれぞれの道で輝くことができる。それを見届けるのも父兄生活の楽しみのひとつなんだよね」

――いや~、さくら学院はおもしろい。だいぶ楽しみ方がわかりましたし、興味を惹かれますね。公開授業にはぜひ行ってみたい!

 


 

~お知らせ~

今年3月に行われたさくら学院の2014年度卒業公演の模様を収めたBlu-ray/DVD「The Road to Graduation 2014 ~君に届け~」が7月7日にリリース! 全国のタワーレコード店舗とアミューズの公式オンライン・ショップ、アスマートでゲットできるので、ぜひ!

Blu-rayジャケット

 

DVDジャケット