Love City 2015
[ 特集 ]都市インディーの源流

音楽の聴かれ方、表現の仕方が大きく変化した90年代。その幸福な時代を起点に、多様化する〈街の音楽〉など現在の日本のインディー界隈の源流を紐解いてみよう

 


 

JAZZ
日本語の歌を媒介にクラブ・ジャズとネオ・ソウルを一枚に収めたJiLL-Decoy associationの最新作や、黒田卓也が関与したNiaやHanah Spring、あるいは〈フリー・ソウル〉シリーズで登場したNujabesの2作品も……ここでは、ジャズにも軸足を置きながらカテゴリを越境する都市音楽を。

 

瘋癲 MUSIC IS EXPRESSION NEXT LEVEL(2003)

関西を拠点とするハイブリッドなバンドの比類なき叙情。無骨なMILIと詩的なB-BANDJという2MCの織り成すグルーヴがブルージーでジャジーなビートと会話して骨太な音像へ変容する様は表題通りだ。トラックメイクも行うドラマーのM.FUJITANIが主導した唯一のアルバムで、いつ聴いてもグッとくるよ。 *出嶌

 

 

小松秀行 Breezin' コロムビア(2015)

ダンディーなベーシストが、プロ歴20余年にして発表した初のリーダー作。〈シティー・ポップ〉〈ライト・メロウ〉といった昨今のモードに導かれたかのように、とろけそうなグルーヴに満ちた本作には、キャリアの出発点となったオリジナル・ラブアシッド・ジャズなど、90年代的なキーワードも随所に。 *久保田

 

 

平戸祐介 Speak Own Words ユニバーサル(2012)

ピアノ・トリオ録音とビートメイカーとの制作という、グラスパーで言うところの〈Double-Booked〉式で作られた意欲作。畠山美由紀birdの出番、mabanuaと組んだロイ・エアーズ曲などは本特集と言語を同じくするもの。quasimode休止後のソロ・ピアノ作も出したばかりだが、こうした試みもまた聴きたい。 *出嶌

 

 

ペトロールズ Problems enndisc(2012)

2005年よりライヴハウスを沸かせてきた元・東京事変長岡亮介らによる3人組の初の全国流通盤。ジャズやソウルなどのグルーヴとスウィートネスにどっぷり浸かったアンサンブルを軸にしながら、サイケやニューウェイヴ経由のファンクといった要素も貪欲に呑み込み、多面的にも程がある世界を確立した。 *澤田

 

 

SANABAGUN Son of a Gun Pヴァイン(2014)

生演奏によるジャズとヒップホップのクロスオーヴァーを通じ、渋谷のストリートでタイト&ブルージーなグルーヴを磨き上げてきた8人編成の若きクルー。ベースとなる音楽性は彼らと近いところにありながら、よりAOR色を強めたメロウネスを放出する一部メンバー参加のスケーター4人衆、Suchmosにも注目だ。 *土田

 

 

cro-magnon joints ラストラム(2010)

今年再結成を果たしたジャジーなヒップホップ・バンド、Loop Junktionを前身に、生演奏によるダンス・ミュージックを展開してきた3人組。本作は、七尾旅人土岐麻子PUNPEE5lackロイ・エアーズらをフィーチャーしたコラボ盤で、ジャズやソウル、ヒップホップをベースとした歌モノに彼らのルーツが滲む。 *小野田

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