ハッピー・オーラが眩しいシティーポップ度高めな“ウキウキ”サマー・アルバム

 『KISS THE SUN』とはなんとも弾けてるじゃないか。予想に違わず内容もハッピーでハートフルな楽曲揃いで、ラストを締めるシュガー・ベイブのカヴァー《Down Town》のフレーズをかりるなら“ウキウキ” の詰め合わせ的サマー・アルバムとなった。イメージする色は“あったかいオレンジ”だとSHANTIは話す。

 「とにかく明るい感じを出したくて、海や車のなかで聴きたいアルバムにしたかったんです。もともと暗いものは大好きだし、得意なんだけど、歌詞もライトなものに絞って、ディープな世界にはいっさい向かわなかった。全部ハッピーにしたかったから」

SHANTI KISS THE SUN Columbia(2015)

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 ドが付くようなスロウ・テンポのバラードも封印して臨んだ本作は、グッとシティーポップ度が高め。でもって、ソウル・テイストが従来よりも強めなところが特徴といえる。実際のところ、ラスカルズの《Groovin'》とアイズレー・ブラザーズの《For The Love Of You》を座標軸として作業を進めていったらしいが、ブルー・アイド・ソウル的な感触を湛えたグルーヴィーなサウンドとSHANTIの歌声との絡みが実に心地良い。

 「これまでわりと個々の音がキレイに聴こえるように意識していたのが、今回はバンドとの一体感に重点を置き、ヴォーカルの次にリズムがしっかりと聴こえるような音作りをめざしたんです。アコースティックで小編成のサウンドが多かったこれまでと比べて、フル・バンドでファットなサウンドが鳴っていると思う。なんかね、曲がそれを求めてたんですよ」

 ふくよかで包み込むようなリズムをはじめ、余裕な表情を浮かべつつほどよく主張する大人な演奏をバックに、あくまでもポップな感じから外れないよう集中しながら作業は進んだという。そんな彼女の歌声は間違いなくソウルフルだけども、ニュートラルさをキープするのが何よりも肝心、といった印象を抱かされる。

 「そこは意識したかな。とにかく私の声という楽器をどう活かすかってことにフォーカスしたんです」

 注目すべきは、ここにきて実現した父、トミー・スナイダーとのデュエット曲《Time After Time》。やはりというか、作業はすんなりいかなかったようだが。

 「親が自分の職場にいるってこれほどやりにくいものかと。ヘッドフォンのなかで肉親の声が鳴り響いてるんですよ(笑)。最初、お父さんが色っぽい歌い方をしていて、やめてくれる!これは恋愛モノじゃないんだから!って注意して。でも改めていい声だと思いました。ふたりの声のブレンド具合もいいし」

 ハッピーかつハートフルな仕上がりで、これがとてもいい。ナイスな親孝行ぶりを見るにつけ、心のなかにオレンジ色のあったかい感覚が広がりましたよ。

【参考動画】SHANTIの2013年作『Jazz en Rose』収録曲"Watch What Happens"

 

LIVE INFORMATION

CD発売記念ライヴ

○7/20(月)東京・渋谷 : JZ Brat
1st :16:00開演 2nd :19:30開演
出演:西山“HANK”史翁(g)木原良輔(g)小林岳五郎(p, key)SOKUSAI(b)鎌田清(ds)

コットンクラブ
○9/27(日)東京・丸の内: COTTON CLUB

http://columbia.jp/shanti/