6年ぶり! フュージョンの名門GRPレーベルからの最新作!

 ユニバーサルミュージック移籍第一弾、GRPレーベルでの本田雅人の最新アルバムが届いた。ずば抜けたメロディ・センスと、豊かなテクニックに裏づけされたサックスのプレイはいつにもまして全開モード。

 「自分で言うのも変ですけど、サックスという楽器が最近、より好きになってきたんです。とても気に入ったマウスピースがあったので、それにあわせてメインで使っているアルト・サックスも変えたら、自分の中にあるサックスの音色に対するこだわり度がアップしたんですね。今までのアルバム以上にサックスの音色を前面に出しているところを聴いてほしいですね」

 6年ぶり、10作目のオリジナル・アルバム、そして全曲書き下ろしの新曲ばかり。

 「作曲する時はこれまでは譜面に書いて楽器は使わず、ということが多かったんですけど、今回はキーボードを前にして作っていて、サウンドが最初から具体的に出来上がった状態で進めていきました。ただ6年ぶりだったので、作曲する癖がなくなってしまったせいか、なかなか書けなくて苦労しましたね。でも、だんだん調子が出てきて、結局3~4日で60曲ぐらい出来て、その中から8曲チョイスしました。ですので、次のアルバムもやろうと思えばすぐとりかかれますよ(笑)」

本田雅人 『SAXES STREET』 ユニバーサル(2015)

 参加メンバーは強力。ギターは梶原順、鳥山雄司、菰口雄矢、ピアノ(&キーボード)は松本圭司、塩谷哲、ベースは須藤満、井上陽介(アコースティック)、ドラムスは則竹裕之、山木秀夫というこれまでも共演経験のある面々。

 「僕だけでなく、このメンバーも同じ6年、歳をとってきているわけです。ほとんどの人たちがいい進化をされていて、サウンドの部分に深みが自然に出ているのを感じましたね。今回変拍子の曲が1曲あって、デモテープの段階では非常に難解な曲であっても、この経験豊富なメンバーだとそうならず、自然なグルーヴの変拍子の曲になったりして、みなさんの曲に対する愛情を感じましたね。やろうと思えばガチガチに出来たのに、包容力のある演奏により、本来とは違う魅力を引き出したという、素晴らしい経験でしたね」

 サックスの音色へのあくなき追求とハイパーなのにナチュラル志向なポップ・インストルメンタル。本田雅人のリアル・フュージョンの旅はまだまだ続く。その一方で、最近では〈ソロ・ライヴ演奏〉の可能性を探っているとか。

 「ルーパー(リアルタイムで演奏した音を録音&繰り返し再生&ダビングを行う機械)を使って、サックスひとりでもファンキーな音楽でライヴやれたらなんて思っています」

 


LIVE INFORMATION
MASATO HONDA B.B.STATION ~BIG BAND NIGHT~
2015年7月29日(水)、7月30日(木)東京・青山 ブルーノート東京
出演:本田雅人(サックスetc.)B.B.Station

SAPPORO CITY JAZZ ~North JAM Session~
2015年8月29日(土)北海道 札幌芸術の森 野外ステージ
出演:本田雅人B.B.Station/矢野顕子トリオ featuring ウィル・リー&クリス・パーカー/タワー・オブ・パワー