半年でデビューが決まったキューバのシンデレラ・ガール!

(C)Fabrice Bourgelle

 

 ジャイルス・ピーターソンウィントン・マルサリスも絶賛するキューバ出身の女性ヴォーカリストがデビュー。その名はダイメ・アロセナ。ジャケット写真からして、いかにも歌えそうな雰囲気を醸し出しているが、実際に聴いてみると、弱冠22歳とは思えない風格に圧倒される。キューバ音楽の伝統を受け継ぎながらも、ジャズのフィーリングもしっかりと身につけたそのスタイルは、どのようにして生まれたのか。

 「音楽に目覚めたのがいつかはわからなくて。気がついたら歌っていたという感じ。母親によると、生まれたときからほかの子供とは発声が違っていたみたい。10歳から19歳までは音楽学校に通っていて、聖歌隊にも入っていた。影響を受けた歌手は、ラ・ルーペマルタ・バルデースエレーナ・ブルケといった新しいキューバ音楽のスタイルを築いた人たち。ジャズではニーナ・シモンエラ・フィッツジェラルドビリー・ホリデイ。この3人が私のアイドル。あと、ブラジルの音楽にもハーモニーや色々な面で影響を受けている」

DAYME AROCENA Nueva Era BEAT/Brownswood(2015)

 ジャイルス・ピーターソンの『Habana Cultura』のセッションに参加したのがきっかけで、とんとん拍子にレーベル契約、アルバムの制作と事態が進行したことには彼女自身も驚いているようだ。

 「CD『Habana Cultura Mix- The Soundclash!』のリリース・パーティーに招かれてロンドンに行ったんだけど、私が呼ばれた本当の理由はレコーディングのためだった(笑)。プロデューサーのシンバッドが 『アルバムをレコーディングしない?』って言ってきて、その場でレーベルに電話して、音源を聴かせたらすぐに契約が決まった。これがたった半年前の話。こんなこと予想もしてなかった」

 アルバムはロンドンとハバナで録音。ピアノのロバート・ミッチェル、パーカッションのオリ・サヴィル、ベースにはニール・チャールズといった一流の面々がバックアップし、キューバの宗教音楽サンテリアからジャズまで様々な要素がブレンドされている。デビュー作としては破格の完成度だ。

 「キューバ音楽とそれ以外の要素とのバランスは特に意識していない。キューバの音楽や文化は全部私の血管を流れていて、自然に音楽に出てくるもの。このアルバムでは、エクスペリメンタルな作品を作りながらも、同時にいまキューバでどんな音楽が聴かれているのかを表現したかった。私みたいに若いアーティストが、21世紀のキューバのミュージシャンが何をやっているのかを世界に発信するのってすごく大切だと思うから」

 

■〈LIVE MAGIC! 2015〉に出演決定!■
Peter Barakan’s LIVE MAGIC! 2015
日程/2015年10月24日(土)・25日(日)
会場/東京・恵比寿 ザ・ガーデンホール/ザ・ガーデンルーム
時間/開場12:00/開演13:00
http://livemagic.jp/