5月に来日公演を行ったミーカの4枚目となるニュー・アルバム。キラッキラのポップ・サウンドに乗せて生々しく渦巻いた感情を誘爆させるスタイルは相変わらずで、30代になり少し大人びた彼の姿がしっかりと刻まれた、懐の深い一枚に仕上がっている。恋心に翻弄される様がストレンジなアレンジから立ち昇る“Oh Girl You're The Devil”は、いかにも従来のミーカ節といったところだが、抑制の利いたピアノ・バラードでじっくり届ける“Hurts”や、アダルトな魅力を振り撒く本編ラスト曲“Ordinary Man”あたりのパフォーマンスは新鮮な味わい。フレディ・マーキュリーへと思いが投影された“Last Party”での、命の瞬きを音楽に重ね合わせる詩情は、先の来日公演でも感動的だった。