言葉を書き連ねるよりも、映像を、その音楽を見聞きして頂くのが一番! ソプラノのバーバラ・ハンニガンが歌い、演じ、指揮する、その美しき姿は、表現者としての凄味を体現し、音楽そのものの奥深い素晴らしさの感受へといざなってくれる。2014年ルツェルン音楽祭でのコンサートの模様と、彼女についてのドキュメンタリーを収録したこのDVDはまさに鮮烈だ。十八番であるリゲティ『マカーブルの秘密』での圧巻パフォーマンスが見逃せないし(サプライズもあり!)、モーツァルトのコンサート・アリアでは自らが音楽と化したかのような匂い立つ情感と明晰な設計を、絶妙な黄金比をもって現出させてくれる。