兼好師匠による噺し問屋シリーズも4作目を迎えました。今回はおなじみの「悋気の独楽」と聴く機会のあまりない「陸奥間違い」を収録。いつもどおりの軽妙なマクラで客席を温めつつ、さらっと落語の世界に誘い込みます。「悋気の独楽」では、キーマンの定吉のちょっと生意気な雰囲気が憎らしいほどに楽しい一席です。そして、今作のメインの「陸奥間違い」は田舎者が巻き起こすドタバタ喜劇。権助さんの明るく憎めないキャラクターづくりが聴きどころ。ポンポンと弾む心地よいリズムで進められる落語も師匠ならではのもの。聴き終えたあとの爽快感がやみつきになること、うけあいです。