1959年。そこで生活していた人たちがただただ明日のために今日をやりくりしている、ごく当たり前の風景。当時それを立ち止まって記録した『東京の音』というLP音源集が発売された。そして2014年というちょっとした近未来の今、再編集。秋山武雄の写真と泉麻人のエッセイと共に楽しめる。そこにはたしかに人がいて、せっせと生活をしている。その賑やかさが、懐かしい。町の音。人の音。モノクロの写真が、音と記憶で色づいていく。聞こえる音が人から発生するという平凡なことに、すごくほっとする味わい深い1枚。今の生活の音を、50年後、聴きたくなることがあるんだろうか。

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