過去2枚のソロ・アルバムはどういう内容なの?

 アルバートのソロ・デビュー作『Yours To Keep』(2006年)は、ストロークスの3作目『First Impressions Of Earth』とほぼ同時進行で制作された。デビュー以降ヒットを連発し、押しも押されもせぬビッグ・グループになった本隊の喧噪から距離を置くかのような、非常にパーソナルな雰囲気の一枚で、フォーキーなアコースティック曲やカリビアン・テイストも披露。ショーン・レノンを迎えたビートルズ愛溢れるギター・ポップなど、メロディーの美しさと歌声の繊細さに驚いたファンは多いだろう。

ALBERT HAMMOND Jr. Yours To Keep Rough Trade(2006)

 

 続く2008年の2作目『Como Te Llama?』はさらに自由度が高く、さまざまなスタイルを混ぜ込んでいるが、全体的にはロック色が濃い印象。キレのあるエレキが随所で聴け、バンド本隊と混じり合っているような感覚にもなりつつ、浮遊感のあるギター・インストやレゲエ~ダブ風の曲を収録しているあたりは、ソロならでのアプローチと言える。このリリース後、ドラッグとアルコール依存の問題を抱えていた彼はリハビリを行いながら、ストロークス『Angles』のレコーディングに突入。ソロ3作目が登場するまでに、7年のブランクを置くこととなる。

ALBERT HAMMOND Jr. Como Te Llama? Rough Trade(2008)