日本の〈SF御三家〉と呼ばれる作家の星新一、筒井康隆、小松左京が1978年にサウンド・ノヴェルと称したシリーズのLPとカセットをそれぞれリリースした。今回その3タイトルが復刻CD化。中でも星新一の作品は、彼の代名詞でもあるショートショートを落語と掛け合わせ、読み物を〈音〉に仕上げている。演じるのは当時の若手落語界の実力派、古今亭志ん朝と柳家小三治。若かりし2人のキレのいい声が音となり、例のスマートな星新一の世界を耳から感じ取れる。70年代、新しいことを試みることをやめなかったということと、それが形になった伝説の1枚かと思う。丁寧な復刻に当時の愛情を感じる。