4年ぶりの新作。旧知のアンドレ・ハリスが新鋭サーを作家起用するなどした楽曲は、J・ディラのネタでもある横倉裕“Evening Star”使いのミッド“Fool's Gold”のような従来路線もあるが、名匠アーロン・ピアースらのもとナッシュヴィルでも録音された本作は、〈ネオ〉ではないド直球ソウルが目立つ。ブルージーな“You Don't Know”は同郷フィリーの先輩歌姫ロレイン・エリソンも歌ったカール・ホールの67年名曲カヴァーだし、“Run Run Run”はJB映画出演を想起させる60s風ジャンプ曲で、肝っ玉母さん歌唱が炸裂。一方、SBTRKTを引用したポップ・ワンゼル制作スロウや9thワンダー制作のBJ・ザ・シカゴ・キッド客演曲は現行マナーの幻想的な美曲。剛柔自在な歌声も含めてメリハリの効いた、安定の一枚だ。