岩井俊二監督による初のアニメ映画は、実写映像をトレースするロトスコープという技術を用いて、彼独特の映像美をそのままアニメに落とし込んだ意欲作。物語は自身の監督作「花とアリス」(2004年)の前日譚で、その主演だった蒼井優鈴木杏がそのまま同じ役の声優を担当。黒澤明手塚治虫へのオマージュも忍ばせながら描かれる、少女たちの闇雲に突っ走るような青春が愛おしい。