眩しい季節、気鋭のニュー・ジャズ・バンドが切り拓いたポップスの光と道――過去最高に鮮やかな閃光が5人の行く先を照らす!

 いわゆるハウスやクラブ・ジャズのマイルドな日本産ブームが訪れていた2008年にメジャー・デビューし、マイペースに活動を続けてきたBLU-SWING。それゆえに時流を睨んで右往左往するようなところはまるでないのだが、〈3部作〉のスタートを謳った『TRANSIT』(2013年)以降の充実は、そもそも持ち札の多かった彼らが、時流に対してジャストなカードの切り方を心得るようになった結果だと見ることもできる。そしてその感覚は、昨年の『ARRIVAL』からおよそ1年で届けられたニュー・アルバム『FLASH』において、よりいっそう鮮やかに時代の一側面を照射することに成功しているのだから、これはもうノリにノッていると言っていい。

BLU-SWING FLASH SILHOETTE/Village Again(2015)

 メンバーに名を連ねるのは、中村祐介(キーボード/プログラミング)、蓮池真治(ベース)、YU-RI(ヴォーカル)、小島翔(ギター)、宮本“ブータン”知聡(ドラムス)の5人。それぞれがバンド活動の傍らで個別の動きも見せているが、なかでも作曲とプロデュースを担う中村の多方面での活躍は、BLU-SWINGそのものの存在を幅広いフィールドに知らしめる役割を果たしてきたはずだ。電子音楽に傾倒したソロ作をイルマからリリースしたり、よりフロア・フレンドリーなTres-menでの活動はもちろん、TJOとのタッグではリミキサーとして倖田來未CREAMアンジェラ・ジョンソンアース・ウィンド&ファイアGACKT東京女子流らのダンス・トラックを手掛けてきたこともお馴染みかもしれない。

 ブランニュー・ヘヴィーズ作品などで活躍したホーン・セクションも迎えた今回の『FLASH』ではあるが、“満ちていく体温”を筆頭に、核となるのはYU-RIが日本語詞で歌う楽曲の数々。そのキャッチーな感触がアシッド・ジャズ作法も相まって過去最高の親しみやすさを獲得した結果として、例えばシティー・ポップと形容しやすかったここ数作以上に、ここでの彼らはJ-Popと呼んでおきたい風情を伴ってダイレクトに楽曲の良さを届けてくれている。今作は先述の『TRANSIT』から連なる〈3部作〉の3作目にもあたるわけで、これにて乗り継ぎは完了!? また新しい航路を往くBLU-SWINGの今後が、早くも楽しみでならない。