インディー・フォーク・シーン屈指のシンガー・ソングライターが、周囲の喧騒に惑わされず、欲求の赴くままに作り上げたという6作目。でも、決して独りよがりに聴こえないのは、前作での成功とその後の内省の賜物だろう。鼻にかかった歌声でなぞるメロディーに漂泊者の如き寂寥感を宿らせる技は流石だし、フィンガー・ピッキングによるギター演奏も、アメリカン・プリミティヴィズムの実践者であることを強烈に印象付ける。また、これまで以上にルーツィーな作風ながら、フィードバック・ノイズを駆使した音響はあきらかにオルタナ世代ならではといったところ。そう、本作はいろいろな角度から楽しめる一枚なのだ。彼の才能に引き寄せられるようにウォーペイントのメンバーほか、豪華ゲストが参加。