MVなどでも素顔を明かし出したゆえか、3枚目のアルバムは堂々たる風格がある。冒頭の“手加減の無い未来”で発せられるのは、厳しくも頼もしい言葉。〈容赦なく訪れる未来〉に対し、〈こちらから手加減なく始めよう〉というメッセージなのかもしれない。だから〈娑婆〉なのかもしれない。そう考えると、シュールさと核心の間でひらひら踊るような大胡田なつきのリリックがシリアス度を増したのも納得がいく。“アンサー”“蜘蛛の糸”ではリズム隊の力強いビートが轟き、ウワモノが印象深かったサウンドにも変化が見えるほか、“ハレとケ”“つくり囃子”“ギブとテイク”での組曲的なアレンジを含め、聴きどころが満載! 混沌のいまを生き抜くヒントをパスピエなりに散りばめた快作だ。