四六時中バンドのことを考えているし
メチャクチャ楽しくて仕方がない

――『Laughing Nerds And A Wallflower』はジャケットも印象的ですが、これはどういう経緯で出来上がったんですか?

NOT WONK Laughing Nerds And A Wallflower KiliKiliVilla(2015)

加藤「高校のときのALT(外国語指導助手)だった外国人の先生に描いてもらったんです。その先生と僕が、2人とも『ゴーストワールド』って映画が好きで」

――ナードな青春映画の金字塔ですね(トレイラ―映像はこちら)。

加藤「そうそう。ただそのままじゃなくて、ちょっと変えたいよねって話はしていて。というのも意図せずなんですけど、Homecomingsが(NOT WONKのアルバムが出る)少し前に影響を受けた感じの曲を発表していたのもあって」

フジ「“GHOST WORLD”って曲を出してたんですよね」

Homecomingsの2014年作『Somehow,Somewhere』収録曲“GHOST WORLD”

 

加藤「そこから、この女の子はニッコリしてないほうがいいとか、可愛すぎてもダメだとかいう話になって。あとは〈アートワークがいろんなジャケで構成されてたらおもしろいね!〉とか、いろんなアイデアを出しながら、NOT WONKのファンっぽい女の子を仮想空間に作り出して」

――この部屋に散らばってるレコード、こういうパンクのジャケは確かにありそうですもんね。

加藤「そうなんですよ(笑)。そういうのを向こうから提示してくれて。何度かやり取りしながら作りました」

――ちなみに、日本のパンク・シーンについてはいかがですか?

加藤SEVENTEEN AGAiNが僕のパンクのきっかけというか、本当にこんなことになる(現在はKiliKiliVillaのレーベルメイト)とは一瞬も考えてなかったし、いまでも僕らにとってはスターなんですよ。だから共感とかじゃなくて、永遠にヒーローって感じですかね」

――どんなところが好きなんですか?

加藤「え……なんだろう。すべて(笑)?」

アキム「なにを取ってもカッコイイですよね」

――GOING STEADY、銀杏BOYZからSEVENTEEN AGAiNくらいまでは繋がってる感じがするんですけど、そこからNOT WONKとなったときにまたひとつ新しい感じがするんですよね。その系譜を受け継いでいる感覚って、自分たちのなかにあります?

加藤「いや、まったくないですね」

与田太郎(KiliKiliVillaスタッフ)「音楽的には別物だと思うし、そのメンタリティーはSEVENTEEN AGAiNで一旦途切れてる感じがしますね。でも(NOT WONKにとって)オーディエンスやリスナーとして、そういった音楽が大事だったというのは良く理解できる気がして」

SEVENTEEN AGAiNの2015年7月のパフォーマンス映像

 

――いまは東京とか日本各地でライヴをする機会が増えたと思うんですけど、外に出たいというモチヴェーションは強いですか?

加藤「そうですね。いろんな人にライヴを観てもらいたいし、どれだけ自分たちが通用するのか試してみたい気持ちは強いかもしれないですね」

――その一方で、苫小牧を拠点にするのはこだわりたい部分でもあります?

加藤「こだわりがあるというよりは、単に自分が生まれ育った街が一番落ち着くというか。地に足が着いてると一番やりやすいし、無理に出る理由もないですし。飛行機に乗ればすぐ着くわけで、いまさら東京が文化の中心でもないというか」

――ブッチャーズやeastern youthを輩出した札幌のパンク・シーンのほうに出ていこうという思いはなかった?

加藤「住んでいた街を出るのが楽になるのって、やっぱり高校を出てからですよね。だから卒業したら札幌のライヴハウスにもバンバン出れるようになると思ってましたけど、実際にその年齢になった頃には、パンクだけじゃないというか。もうちょっと幅を広げたほうがいいなって思うようになって。実際にやってることももう少し幅があったと思うし」

アキム「その頃に“Guess What I’m Thinking”が出来たんですよね」

加藤「そう、自分たちのターニング・ポイントとなった曲ですね」

苫小牧ELLCUBEで撮影された、NOT WONKの2014年の “Guess What I'm Thinking”パフォーマンス動画。京都の生き埋めレコーズが発表したコンピ盤『生き埋めV.A.』に同曲が収録されたことが、バンドが全国区で注目される大きなきっかけとなった

 

――ここまでは初期衝動で駆け抜けた部分も多いと思うんですけど、『Laughing Nerds And A Wallflower』のリリースを経て、今後はどんなふうになっていきたいですか?

加藤「アルバムに入っているものより、いい曲をいっぱい作りたいというのと……それと単純に、もっといいバンドになりたいですね」

――アルバムで満足している部分と、今後もっとがんばりたい部分は?

加藤「よく録れたなって思う曲もあるし、曲をいっぱい収録できたところも気に入ってます。多すぎるという人もいたけど、僕は17曲入れられて良かったと思っていて。逆に、演奏はまだまだ上手くなれる気がするし、曲の構成もおもしろくできる気がします。あとは歌がもっと上手くなりたいですね」

――加藤くんは、自分のことマジメだと思いますか?

加藤「思います! 部屋とかはすげぇ汚いんですけど、四六時中バンドのことを考えているし、バンドのこと以外やりたくないっていうか。〈こんなに考えてるの俺だけなんじゃないか?〉って思うときもあるくらいで。バンドで初めてやったライヴがとにかく楽しかったんですよ。〈東京に行くなら恥を捨てて演奏しなきゃダメだ!〉って、こないだタクシーの運転手にも言われたんですけど(笑)。恥という概念を一瞬も持ったことがないし、いまもバンドがメチャクチャ楽しくて仕方がない。他のことに時間を割く余裕がないです(笑)」

 


〈Shimokitazawa SOUND CRUISING presents「The World to Come」〉
日時/会場:2015年10月24日(土)  東京・代官山UNIT
出演:dip、NOT WONK、The fin.
開場/開演:17:30/18:00
料金:3,000円(前売り)/3,800円(当日)
・ローソン(Lコード:76314)
・チケットぴあ(Pコード:276-585)
・イープラス
・楽天チケット
http://soundcruising.jp/
http://www.thistimerecords.com/productions/e/shimokitazawa_sound_cruising_presents_the_world_to_come.php 

〈KiliKiliVilla Presents 不安と遊撃 Vol.2〉
日時/会場:2015年11月21日(土)  東京・渋谷TSUTAYA O-nest
開場/開演:18:00/18:30
出演:LOSTAGE、NOT WONK
DJ:タイラダイスケ(FREE THROW)
料金:3,000円(前売り)/3,500円(当日)
※公演の詳細はこちら