女性ハード・ロック・バンドのパイオニア、SHOW-YA開拓史を駆け足でおさらい!

 女性ロック歌手や女性ヴォーカルを据えたバンドはいても、日本のメジャー・フィールドに〈女性だけのロック・バンド〉は皆無だった85年、『MASQUERADE SHOW』(イーストワールド/ユニバーサル)で登場してきたのがSHOW-YAでした。翌年の『QUEENDOM』(同)ではほぼ全曲をメンバーが自作し、演奏技術にも秀でていたものの、当時の売り出し方は歌謡曲寄りのフィールドにおける〈アイドル・バンド〉的なもの。87年の『IMMIGRATION』(同)などでは秋元康筒美京平が大半の詞曲を書くなど、メンバーたちの意志と周囲の意向にギャップが生じた時期もあったようですが、それもバンド史において無意味な時期ではなかったでしょう(新作では秋元が28年ぶりに詞を提供!)。

 そんな頃にSHOW-YAが企画したイヴェントこそ、出演者のみならずスタッフに至るまでNAON(女性)だけで作り上げるロック・フェス〈NAONのYAON〉。会場はYAON(=東京・日比谷野外大音楽堂)。87年に開催された第1回の出演者には、ブレイク前のプリンセス プリンセスや大先輩のカルメン・マキも名を連ねていました。そのようにしていわゆるバンド・ブームの到来を目前に控えるなか、必然的にSHOW-YAの音楽性も〈男勝り〉なチャームを遺憾なく発揮できる状況へ好転。機が熟した89年、HR/HM色をさらに濃くした7作目『Outerlimits』(同)は彼女たちへの支持を盤石にし、なかでも寺田恵子五十嵐美貴のコンビで作曲したシングル“限界LOVERS”は30万枚を超えるヒットとなりました。が……。

SHOW-YAの2005年作DVD「大復活祭:20th Anniversary Live」収録“限界LOVERS”

 

 91年には寺田が脱退し、新ヴォーカリストを迎えて存続したバンドも98年に解散。5人の再集結は2005年まで待たねばなりませんでした。そして、2012年には22年ぶりのフル・アルバム『GENUINE DIAMOND』(マスターワークス)を発表! 〈NAONのYAON〉も2013年からは毎年開催され、中村あゆみ杏子SCANDALSilent SirenCyntiaGacharic Spinら幅広い世代のNAONたちも交えてシーンを盛り上げています!

SHOW-YAの2012年作『GENUINE DIAMOND』収録曲“流星少女~Shooting Star 196X~ ”