Photo by Tsuneo Koga

 

――今回はいろんな方が参加してますよね。Kashifさんが4曲参加されていて、“Kamakura”なんかじゃギターを弾きまくっている。

「Kashifさんがいちばん好きなのは山下達郎さんだと思うんですけど、カシーフって名前がずばりブラコンですし(笑)すきな音楽の共通項が多いので、作業も楽しいです。Kashifさんもあんまり汗をかかない感じがあって、さりげないソウル感。でもこの曲ではばっちり熱いソロ弾いていただきました」

――“黄昏のメモリーレーン”や“Virtual Intimacy”ではGolby Soundがアディショナル・プロダクションでクレジットされていますね。

「ファースト・アルバム(2003年作『サーカスの娘』)の頃からライヴを手伝ってもらったりしていて、制作でもときどき相談するようになって。“黄昏のメモリーレーン”の場合はほぼ出来上がった状態のものを〈ちょっと聴いてもらえませんか?〉と送ったところ、音が足されて返ってきて、それが良かったのでブリッジ部分として採用させてもらったり、他でも私がシンセで入れていたパートを〈ピアノにしてもいいんじゃない?〉と提案してくれて、それが良かったので採用させてもらったりとか。基本は一人きりの作業なので煮詰まってしまうこともあって、そんなとき唐突に音を送って〈これどう思います?〉と訊ける存在なんです」

――その“黄昏のメモリーレーン”ではやけのはらさんがフィーチャーされています。

「やけのはらくんたちが横浜でやってるパーティーに呼んでもらったこともあったし、〈いつか一緒に曲を作れたらいいですね〉という話はしていて、今回ようやくできました。この曲はホーンを入れたいと思って彼に相談したら、思い出野郎Aチームの2人を紹介してくれたんです」

――“Back In Love (Music)”ではPUNPEEさんをフィーチャーしていますが、彼は共同プロデューサーとしてもクレジットされていて。

「最初、PUNPEEくんからは〈サンプリングでやってみたい〉という提案をもらったんですね。彼とやるんだったらそれもおもしろいかなと思って、サンプリングで何曲か作って選んでもらって。そこからいろいろ相談しながら音を足していったり、構成を考えたり。エリカ・バドゥコモンの“Love Of My Life (An Ode To Hip Hop)”に通じるような、ヒップホップや自分のルーツにある音楽への思いを男女に例えたような曲にしようというアイデアから始まっていたので、自分のなかのクラシックといえる好きな音楽からサンプリングしました」

――LUVRAWさんのトークボックスがたまらなくメロウな“Sweet Juicy Luv”も最高ですが、彼とは前作の“国道一号”以来の共演となりますね。

「そうですね。“国道一号”ではLUVRAW & BTBとしてやってもらいました。アルバム全体のテーマとして〈いろいろな愛〉について歌いたいと考えていたので、〈愛〉といえばハマの甘党LUVRAWくんかなあと思って(笑)。アメリカのR&Bみたいなエロティックな表現って日本だと少ないように思うんですけど、トラックのデモの時点でこの曲は〈性愛〉だなと。それにLUVRAWくんだったら応えてくれるかなと思ったんです」

――先ほどから何度か名前が出ているtofubeatsさんも“No.1”のアンサーソングである“愛のまぼろし”でフィーチャーしていますね。

「“No.1”という曲を歌ったことによって、実際活動できていない時間も自分の歌声をいろんなひとが聴いてくれて。そのことに対して私なりのお返しができるとすれば、アンサーソングを作るのがいいかなと思ったんです。彼の声には憂いがあっていいなあと思っていたので、今回はtofuくんにはヴォーカリストとして参加をお願いしました。ただ、tofuくんにしてもPUNPEEくんにしても素晴らしいプロデューサーでもあるので、わりとシンプルな段階からトラックを投げていたところ、ふたりとも音を足して返してくれて、結果的に共作になっちゃいましたね。おもしろいなと思ったのが、ベースになるトラックはわたしが作っているんですが、図らずも2人ともそこに思いっきりキラキラしたシンセを重ねて返してきたりして」

――へえ。何のリクエストもしてないのに?

「そうなんですよ。私がやろうとしていることを汲み取って、その音色を選んでくれたと思うんですが、彼らの嗅覚とかセンスを感じました。ひとりの世界ではこういう仕上がりにならないだろうというものが音の面でも出来たのが、嬉しかったですね」

――この“愛のまぼろし”はホント名曲だと思いますよ。

「本当はこんなにベタベタに作っちゃっていいのかな?と思ったんですけど、tofuくんが初めて“No.1”を送ってくれたときもそう感じたんですよね。でも、そんな“No.1”に対しての反響が私にとってはすごく新鮮で。なので、このアンサーソングは自分のなかでも振り切った感じで書いてみようと」

――さっきおっしゃっていた〈いろいろな愛〉というテーマは最初からあったんですか。

「愛の形にもいろいろありますよね。音楽愛、郷土愛、自己愛であるとか。なんとなくこのアルバムは〈前向きな言葉を歌いたいな〉と思っていて、たとえ悲しいことも愛を感じられる表現で歌いたいと思ったんです」

――〈前向きな言葉を歌いたい〉と思うようになったきっかけは何かあったんですか。

「やっぱり子供が生まれたからなのかな。車中でもデモ(音源)をよくかけているので、子供たちは鼻歌で私の歌を口ずさんだりしてるんです。いずれ歌詞の意味がわかったときのためにも、あんまり卑猥なことは……というのは冗談ですが(笑)。自分の子供に限らず、子供たちには音楽を好きになってほしいなあと思うんですが、どんな音楽でもいいんですよ。それは私自身が、音楽は一生の友達だなと感じているからで。前向きな言葉というのも〈わかりやすい元気ソング〉という意味じゃなくて、ふと歌詞カードを読んだりしたときに、少しでも生きていることを肯定できるような、なるべくそんな気持ちになれる音楽を作れたらいいなと。それは歌詞に限らず、ダンス・ミュージックにもそういうちからがあると思うんです。私の音楽を聴いてくださる方に対して、自分の子供に対して、私が目の前にいなくても、ひとりぼっちの時でも、この音楽がいつか良き友になってくれたら作った甲斐があるかな、って――ひゃーすいません、熱くなってしまいました……」

――いやいや、そういう言葉が聞きたいんですよ。今後の活動についてはどういうイメージを持ってます?

「パーマネントなバンドとしては活動できないかもしれないですけど、12月2日のリリース・パーティーではこのアルバムの音を〈Midnight Sun〉バンドで再現したいと思っています。ゲストの方はもちろん、ダンサーも入れて、この音楽で表現したい世界観を生々しくやっちゃおうと。あと、このアルバムをアナログにしたり、リミックスも作りたいですね。他のアーティストの方に曲を書くことも続けたいですし。まだ思いきり活動できるってわけじゃないんですけど、やりたいことは時間をかけてもなるべくやっていきたいです」

 


 

 

G.RINA『Lotta Love』RELEASE PARTY

日程:12月2日(水)@東京・NOS EBISU  19:00開場/24:00終演
前売チケット:立見 3,000円/着席(45席限定)3,000円+飲食代・2,000円
〈特典〉着席・立見の方に先着順でG.RINAからのお便り&スペシャル音源“Midnight Sun feat. ZEN-LA-ROCK”をプレゼント

ライヴ:G.RINA & Midnight Sun
ゲスト:tofubeats/PUNPEE/やけのはら/LUVRAW
DJ:DJ JINRHYMESTER)/MALPART2STYLE)/やけのはら
MC:ZEN-LA-ROCK

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