INTERVIEW

カイル・イーストウッドが語る、ブラジルやアフリカ音楽の要素採り入れつつ50~60年代ジャズの雰囲気帯びた新作

photo by Sylvain Gripoix

 

全盛期ブルーノートのファン心理を共有できるコンテンポラリー・ジャズ

 バンド・リーダー/作曲家として着実な活動を続けるカイル・イーストウッドが、通算7枚目となる新作『タイム・ピーセス』を発表し、9月には来日してブルーノート東京公演を行った。

 アルバム冒頭の《カイピリーニャ》は、主にリズムの変化による様々な場面転換が楽しめる曲で、カイルの幅広い音楽に対する興味がよく表れている。「ブラジル音楽からスウィング、アフリカ音楽まで、ここ2、3年取り組んできた音楽の要素をあれこれ取り混ぜたような感じだね」

KYLE EASTWOOD タイム・ピーセス Jazz Village/キングインターナショナル(2015)

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 とはいえ、彼自身によるライナーノーツにも書かれているように、全体としては大のジャズ・ファンである父親の影響で子供の頃から慣れ親しんでいた、1950~60年代のジャズの雰囲気を帯びた曲が中心になっている。アルバムのカヴァーも、ジャズ好きなら思わずニヤリとする“確信犯的”デザインだ。「それがアルバムのコンセプトというわけじゃなかったけれど、ここ2、3年バンドでよくやっているハービー・ハンコックの《ドルフィン・ダンス》と、ホレス・シルヴァーの《ブロウイン・ザ・ブルース・アウェイ》は入れたいと思っていた。だから、それに加えて用意したオリジナルも、自ずとその頃のブルーノート作品に影響されたようなものになったんだと思う。今でもそのあたりのアルバムは大好きだしね」

 5拍子のリズムでひねりを効かせた《ピース・オヴ・シルヴァー》は、《ブロウイン~》を録音した前日にホレス・シルヴァーが亡くなっていたことを知り、タイトルの決まっていなかったこの曲を彼に捧げることにしたという。「サウンドもホレスが在籍した頃のジャズ・メッセンジャーズに似ていたし、僕が初めて聴いた5拍子の曲も《テイク・ファイヴ》だったからね」

 近年ではリーダー・バンドでの活動の機会が多くなっているカイルだが、もともと映画と関わりの深い家庭に育ち、大学では映画を専攻し、作曲家としていくつかの作品にサウンドトラックも提供している。これまでのアルバムにも、映画音楽を思わせる曲が必ず入っていたが、本作にもその流れを汲む《ヴィスタ》や《ノスタルジーク》といった曲が収録されている。前者は長年の音楽パートナーでもあるピアニストのアンドリュー・マコーマックが自身のトリオで演奏していたのを、カイルが気に入って取り上げたという。アルバムには、彼が父親の監督作品『硫黄島からの手紙』のために書いたサウンドトラックも、新アレンジのピアノとベースのデュオで収録。新作中心の構成によるライヴでも演奏されたが、時節柄、客席がある種厳粛な雰囲気に包まれていたのが印象的だった。

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