ベースメント・ジャックス初のリミックス盤でLet's Party!

 いつだってパーティー・モードは全開だ! 当代きってのエンターテイナーとして世界中を踊らせ続けるベースメント・ジャックス。昨年は〈フジロック〉に舞い降りてオーディエンスを盛大な宴へとナヴィゲートし、その後、間髪入れずに6枚目のオリジナル・アルバム『Junto』をリリース。作品ごとに豪華なゲストとのコラボでも話題を集めてきたBJだが、同作では著名アーティストの召喚を控え、ここ数年のトレンドである90sトロピカル・ハウス、十八番のラテン・テイスト、さらにベース・ミュージックなど、サウンド面でのヴァラエティーをいつも以上に強力プッシュ。上々の評価を得たことも記憶に新しい。

 そして今年に入り、アルバムのボートラに収められた“Back 2 The Wild”の日本語ヴァージョンを作りたいという2人の願いから、チームしゃちほこをフィーチャーしたヴァージョンを公開。3月の単独公演時には、彼女たちとステージでの共演も果たしている。その話題曲が今回12インチ・シングル化され、最新作もBJ初のリミックス・アルバムとなって再登場!

 気になる『Junto Remixed』はオリジナルと打って変わり、シーンの新鋭からスーパースターまで揃えて主役を譲ったカタチだが、よりフロアに接近した内容で、ダンス・ミュージック・ラヴァーなら悶絶必至の音がギッシリ! 本リミックス盤の収録曲を簡単に紹介していこう。

BASEMENT JAXX Junto Remixed Atlantic Jaxx/HOSTESS(2015)

 

1. Taiko Juntos
オープニングを飾るのは、今年1月に配信されたEP『Junto Club Bonus Tracks』の収録曲。表題からも窺える通り和太鼓が導入されたナンバーで、パーカッションやトライバルなビート、声ネタなどが徐々に加わってビルドアップする、BJらしい祝祭感に溢れた出来映えだ。

 

2. Unicorn (Big Dope P & TT The Artist Remix)
モーヴェル・トラックスを主宰し、ジューク方面にも名を轟かせるフランスのビッグ・ドープPが、今夏にボルティモアのレーベルからEP『Gimme Yo Love』(Nina Pop)を発表したTT・ジ・アーティストを迎えたコラボ・リミックス。ブーティー・ベースとシカゴ・ハウスの影響を感じさせるトラックにTTのラップを乗せ、ナスティーなムードを演出!

 

3. Never Say Never (Wayward Remix)
今後注目すべきディスコ・エディット/ディープ・ハウスのプロデューサー、ノーム・デ・プルームを擁するデュオ=ウェイワードが手掛けたこちらのヴァージョンは、温かみのあるベースラインがリードするチル・ハウスな逸品に。イートン・メッシー周辺の音が好きな方にはたまらないだろう。

 

4. We Are Not Alone (Fei-Fei Remix)
LAをベースに活動し、これまでにバンクスマット・ゾーのリミックスも手掛けてきたアジア系の女性DJ、フェイ・フェイは、スウィンギーな原曲をアトモスフェリックなシンセが心地良いプログレッシヴ・ハウスへと転化。テンポ・チェンジする中盤の仕掛けがカッコイイ!

 

5. What's The News (Sidney Charles Remix)
ベルリンのアヴォートルを中心に、モダ・ブラックホット・クリエイションズなど人気レーベルから数々のシングルを発表しているシドニー・チャールズ。骨太のキックを容赦なく打ち鳴らすマッチョなテック・ハウスは、彼ならではの手捌きと言えよう。

 

6. Summer Dem (Alex Metric Remix)
かつてはポジティヴァマリン・パレード、近頃はOWSLAをホームグラウンドに活躍し、今年リリースのコンピ『OWSLA: Spring Compilation 2015』(OWSLA)でも楽曲が聴けるロンドンのDJ/トラックメイカー、アレックス・メトリック。ここではフレンチ・タッチの香りも漂うディスコ・リミックスを披露している。

 

7. Buffalo (Dub Phizix Remix) 
イグジットソールなどから革新的なビートを次々と世に放ち、重低音愛好家たちの度肝を抜いてきたダブ・フィジックスは、BJ曲をサブベースが唸るドラムンベースに調理。ほかにも、CDでは2013年のコンピ『Hospitality Drum & Bass 2013』(Hospital)に収録されたネットスカイ“Love Has Gone”のリミックスなどで、彼の仕事を確認することができる。

 

8. Sneakin' Toronto (The Martinez Brothers Remix)
10代の頃にデニス・フェラーに見初められ、現在は欧州を中心に絶大な人気を得ているブロンクス出身の兄弟、マルティネス・ブラザーズ。ここでのトライバル&超ド級のファンキーなテック・ハウス・アレンジにも、聴けばすぐに彼らとわかるタフなグルーヴがある。コンピ『Defected In The House Miami 2015』(Defected)で2人のオリジナル曲“Tree Town”がチェックできるほか、今年はシックとの“I'll Be There”も話題に。

 

9. Rock This Road (Catz 'N Dogz Remix)
3チャンネルズ名義でも知られるポーランドのキャッツ・ン・ドッグズは、生音使いと細かく切り貼りしたヴォーカルによってトリッキーなミニマル・テクノを展開。クロード・ヴォンストローク率いるマザーシップからアルバムを出すなどして信頼を高めてきた彼らは、自主レーベルのペッツから新作『Basic Colour Theory』(Pets/OCTAVE)も発表したばかり。併せてチェックを!

 

10. Something About You (Adrian Hour Remix)
今年、マーク・ナイトトゥールルームに合流したブエノスアイレス生まれのエイドリアン・アワーは、BJ曲をバウンスするタフなキックのテクノ・トラックに仕立てている。ディープ・ディッシュのシャラムによる最新ミックスCD『Yoshitoshi Ibiza』(Yoshitoshi)でオリジナル曲の“All Falls Down”が使用されるなど、これから飛躍が期待されるひとりだ。

 

11. House Scene (Carlo Lio Remix)
ロウセンティックを主宰し、インテック・デジタルからも楽曲をリリースしているカナダはトロント在住のプロデューサー、カルロ・リオ。原曲のハウシーな要素を残してハード・テクノ化し、ボトムの重厚さが際立つリミックスを聴かせてくれる。

 

12. Mermaid Of Bahia (Eden Prince Remix) 
ハイチはポルトープランス出身、EDM系のDJとして世界中に名を馳せるマイケル・ブラン。彼の主宰するキッド・ココナッツからもリリース済みのリミックスがこれだ。エデン・プリンスの正体は不明だが、カリビアン・テイストを加えた激アゲのダンス・チューンにするセンスはタダゴトじゃない!

 

13. Love Is At Your Side (Luciano Remix)
もはや説明不要のスーパースター! 数多くのタレントを輩出し、パーティーも大盛況のカデンツァを束ねる男、ルチアーノだ! 2009年作『Tribute To The Sun』(Cadenza)でのラテン音楽とテクノの融合は、今回のリミックスでも実践されている。同じく生音を基調にしつつも、バンド感の強いBJとは異なり、とんでもなく深い世界へ引きずり込むマシーナリーなサウンドが強烈。

 

14. Power To The People (Zulu Mix)
BJとは2005年に“U Don't Know Me”“Oh My Gosh”で共演しているヴーラ・マリンガサウルのユニット、ズールーの手に掛かり、ディープ・ハウス風味の原曲がリズムを強調した躍動感の漲るアフロ・トラックへと変身している。客演仕事の多いヴーラは、布袋寅泰の2014年作『New Beginnings』(ユニバーサル)に収録された“Texas Groove”にもヴォーカル参加。