EVENT & LIVE REPORT

ユアロマやLUCKY TAPESら数々の熱演が提示したインディー・ポップの〈現在と未来〉、『NOW NIW NEXT』リリパをレポ!

名門レーベル、Niw!がいまこの瞬間フレッシュに活躍中のアーティスト15組を集結させ、インディー・ポップの最前線を提示したコンピレーションCD『NOW NIW NEXT』。Mikikiでは、同作に収録されたYOUR ROMANCEDATSLUCKY TAPESPAELLASのメンバーらで座談会を企画し、お互いの共通点や個性から、現在の活動の先にある野心まで語ってもらいました。本コンピの発売を記念して、11月3日には収録バンドの多くが出演するリリース・パーティが渋谷O-nestと7th Floorの2会場で開催。ライヴハウスの現場で、オーディエンスの視点で、新しい世代の諸相をさらに確認すべく、会場へと向かいました。

VARIOUS ARTISTS NOW NIW NEXT Niw!(2015)

NOW NIW NEXT Release Party
日時/会場:2015年11月3日(火・祝) 東京・渋谷TSUTAYA O-nest
出演: CURTISS / DATS / LUCKY TAPES / PAELLAS / Seuss / SUPER VHS / YOUR ROMANCE

NOW NIW NEXT ~HOUSE vol.3~
日時/会場:2015年11月3日(火・祝) 東京・渋谷7th Floor
出演:Capeson / Kai Takahashi(LUCKY TAPES)/ PunPunCircle / 安部勇磨never young beach)/ 内村イタル / My Arcade

 

渋谷駅を出て道玄坂を上り会場のO-nestへ。エントランスを抜けライヴ・スペースへ入るとフロアBGMには『NOW NIW NEXT』が鳴り響いています。この日O-nestのトップバッターを飾ったのは、先日Teen Runnings金子尚太が主宰するSAUNA COOLから初の全国流通盤『CLASSICS』のリリースが発表された神奈川のSUPER VHS。“Remember The Night”“Runaway”などSoundcloudやBandcampで発表されているナンバーを中心に5曲を披露しました。これまでの音源ではオブスキュアなサイケ・ポップをアピールしていましたが、ライヴを聴く限り、2本のギターはしっかりとカラーが分かれ、ドラムもパワフルと、かなりロック・バンドっぽい印象。リリース・パーティーのあとに、アルバム収録曲として新たに公開された“Conservative”もビート強めのシンセ・ポップで、新作への期待が高まります。

 

次は、関西を拠点に活動する4人組、Seuss。甘いマスクのフロントマン、ダンディーな髭面のギタリスト、シャープな顔立ちのベーシスト、髪を撫でつけている洒落者のドラマーと、違うタイプのイケメンを揃えている彼らは、ステージに並ぶだけでカッコイイ! さらに音楽性もイマドキのロック・バンドとは一味違って、スウィンギンなロックンロールや甘いロッカバラードなどロカビリーオールディーズを咀嚼したもの。『NOW NIW NEXT』にも収録された“Dancing Stupid”を筆頭に、軽やかに跳ねるドラミングが最高にダンサブルです。装飾過多にならず随所で気が利いているアンサンブルは、ちょっと日本のバンド離れしてるかも。不遜な佇まいといい、デビュー当初のストロークスを彷彿とさせるというのは言い過ぎでしょうか。

 

3組目に登場したのはダンス・ロック・サウンドとキャッチーなメロディー・センスが武器のDATS。ステージ前にオーディエンスが駆け込み、人気の高さが窺えます。そして、演奏がスタートするやいなやフロアはヒートアップ。お客さんも楽しそうに首を振って飛び跳ねます。『NOW NIW NEXT』座談会でも杉本亘が「モデルとしているバンドはthe telephones」と語っていましたが、奇しくも同日に活動休止前最後のライヴをおこなっていたthe telephonesの空けた場所を、彼らが一気に奪ってしまいそうな熱量の高いライヴでした。『NOW NIW NEXT』に収録された“Candy Girl”では、トロピカルなビートでイントロを引っ張りまくるライヴ・アレンジを披露。これは踊っちゃいます。

 

次は『NOW NIW NEXT』と同時にNiw!から初ミニ・アルバム『Four Doves』を発表したCURTISS。MVが作られた“With White Thing”の印象からポスト・ヴァンパイア・ウィークエンド的な清涼トロピカル・インディー・バンドを想像していたのですが、ライヴを観て驚き。骨太の王道ギター・ロック・バンドじゃないですか! 身長の高いメンバーが並ぶ姿はまるでそびえ立つ針葉樹林のよう。薄く焦げた色のレスポールが似合うフロントマンのDAIKIはまさにロックンロール・スターです。ハード・ロッキンなリズム隊と、ニューウェーヴィーなギター・フレーズという水と油のようなサウンド要素を、メロディーの太さでばっちり繋ぎとめている様にはスピッツを思い出したり。ナイスなパフォーマンスばかりのイヴェントのなかで、個人的にいちばんの驚きでした。

 

ここで7th FLOORの様子も少し紹介。O-nestとは同じビル内、2つ上の階にあたる7th Floorは、えんじ色をベースにした内装の、落ち着いて音楽を楽しむことのできるライヴハウス/バー。この日は鹿児島からやって来たMy Arcadeをオープニング・アクトに、LUCKY TAPESの Kai Takahashi、PunPunCircle、安部勇磨(never young beach)、内村イタル、Capesonが出演していました。筆者がCURTISS後に訪れたときには、安部勇磨が弾き語り中。“どうでもいいけど”などネバヤンの曲を挟みながら、飄々と歌を紡いでいきます。これはお酒が進む! 7th FloorとO-Nestをつなぐ6階は物販とバー・スペース。ここでは今日の演者の多くが、お客さんも巻き込んでなごやかに盃を交わしていました。

イヴェントもいよいよ後半に突入。O-Nestに戻ると登場したのはPAELLASです。SEの硬質なテクノ・トラックにかぶせる形で演奏を始めていき、フロアも操られるように波打ちはじめます。ほとんど曲間を作らない演奏は、完全に踊らせにきたセット。Satoshi Ananのギター・カッティングも冴えまくり、ヴォ―カリストのTatsuya Matsumotoはインディー・バンドにはなかなか珍しいハンドマイクでの歌唱で、セクシーに身体をくねらせます。一切音を止めず、MCもなく、最後に一言「ありがとう」とだけ放って終了。いやー、かっこよかったです。

PAELLASの2015年の楽曲“Hold On Tight”

 

これまでは4~5ピースのギター・ロック・バンドが続いていたO-nestですが、次の演者はホーン隊や女性コーラスらサポート・メンバーを含む8人編成のLUCKY TAPES! スカイラー・スペンスの“Fiona Coyne”をBGMに登場し、会場の雰囲気は一気にディスコへ。太い音が産み出す心地好いグルーヴ、華やかなステージングと、実にミラーボールの似合うバンドです。2曲目では、ダフト・パンクの“Harder Better Faster Stronger”のヴォコーダー・サンプルをシンセで奏でつつ、さらに“Get Lucky”のカヴァーを盛り込み、最高潮に達したところでスムースに『NOW NIW NEXT』にも収録された自分たちの人気曲“SUNDAY NIGHT”へ。おまけにカインドネスの“Gee Up”もブレイクで挟みこむという〈反則!〉と言いたくなる畳みかけに、ライヴ・バンドとしての強靭さを感じました。

 

7th Floorで、Punpuncircleの奏でるエキゾチックな歌を堪能した後は、いよいよリリパも大詰め。トリを飾るのは、コンピと同日にNiw!から初ミニ・アルバム『BUSINESS』をリリースしたYOUR ROMANCEです。たくさんのオーディエンスが見守るなか、オープニングはアンビエントなインスト曲を演奏。白いライトがステージに神秘的なムードを作り出し、一気にO-nestをユアロマの世界へと染め上げます。続いて2曲目は、80年代エレ・ポップ風シンセ・サウンドと軽快なダンス・ビートに、色気たっぷりのメロディーが絡む“The Way”。ツイン・ヴォーカルの相性が抜群です。その後も“Replica”、“ANIMALS”と人気曲が続き、先日MVが公開された“Kids”で昇天! ライヴ終了後も拍手が鳴りやまず、この日唯一のアンコールへ。再登場後は、スピーディーなロックンロール・ナンバーを(ストロークスの“Take It Or Leave It”も混ぜてたような……)を一気にやり遂げ、大きな歓声のもと『NOW NIW NEXT』リリース・パーティーは終了しました。

 

今回のリリース・パーティーを通じて、もっとも印象に残ったのが、シンセの使用やダンス・ビートの導入など、各バンドのサウンドにざっくりと共通点はありつつも、そのアウトプットはまったく異なったものに仕上がっていること。ゆえに、ポジティヴな意味で『NOW NIW NEXT』というコンピは、収録バンドにとって中継地点が刻みこまれた作品なのだと思います。そして、ベクトルやゴールが異なるからこそ、この瞬間だけの交差を収めた本作には意義がある。Niw!が『NOW NIW NEXT』というタイトルに託した想いへと少し近づけたような、そんな感慨深さとともに帰路へと着いたのでした。

美しい星