まるで超娯楽SF大作!? 〈沈黙の惑星〉を解放するパワーを秘めたダンス音楽を鳴らすべく、個性豊かな面々が集ったコラボ盤が完成!

 一聴して覚えたのは、超娯楽SF大作を巨大スクリーンの映画館で楽しんだような感覚だった。音楽と言葉が禁じられてしまったら――そんな〈近未来の世界を解放する〉というストーリーを持った作品が、TeddyLoidのニュー・アルバム『SILENT PLANET』だ。

TeddyLoid SILENT PLANET EVIL LINE(2015)

 閉ざされた惑星でただ一人難題に立ち向かうのは、無謀な挑戦かもしれない。それでもキャプテンとして舵を取ることを決意したTeddyLoidの前には、巨大な壁が立ちはだかる。性能の高いスペースシップを縦横無尽に操れても、それだけで簡単に攻略できる戦いではない。たび重なる試練を突破するには、強力な仲間たちの助けが必要だ。そのために、まずは得意とするEDMサウンドを掻き鳴らして広くみずからの世界観を知らしめる必要がある。そのために集まってきた同士は、中田ヤスタカ小室哲哉。エレクトロ・サウンドを知り尽くした若手筆頭と重鎮の助太刀が大きな力となる。

 これを起点として、楽曲ごとにコラボを重ねることとなった本作。上述のミッションの成功により、さらなる仲間たちが集まってくる。早くからTeddyLoidの才能をサポートし、常にダンス・ミュージックを通してあらゆる可能性に挑戦し続ける☆Taku Takahashim-flo)、大規模のライヴ公演を成功させ続けるGLAYからギター・プレイヤーとしてHISASHIも参戦。

 こうなればもう快進撃は止まらない。galaxias!の活動で歩みを並べた盟友の柴咲コウDECO*27も約4年ぶりに集結。キュートなポップ・バンドのShiggy Jr.からフロントガールの池田智子、エッジーなロック・バンドからドレスコーズ志磨遼平がそれぞれの枠を超えたアプローチで奮闘すれば、ワールドワイドに活躍するダンス・アクト集団のWRECKING CREW ORCHESTRAが華を添え、さらにはももいろクローバーZの大躍進を支えたTeddyLoidへの恩返しのために、あーりんこと佐々木彩夏が激しい戦いに安らぎのバラードを捧げる。

 ここまでで、すでに申し分のないメンバーが揃っているが、最後の大きな壁を超えなくては真の解放には辿り着かない。ダンス・ミュージックにメッセージ性を持たせる必要があるのだ。

 そこで召喚されたのは、“Hoo! Ei! Ho!”などのクラシックを残す日本語ラップのパイオニア的な存在である近田春夫と、TeddyLoidと同様に各方面から引く手あまたのトラックメイカー・tofubeatsとのタッグ、現在のヒップホップ・シーンの最前線を走るKOHH。そしてレゲエ界からはFIRE BALLJUN 4 SHOT、ラウド・ロック界からはROTTENGRAFFTYの2人のヴォーカル=N∀OKINOBUYA、ギターのKAZUOMIが登場。これらの出会いがすべての音楽リスナーの概念を破壊するようなパワーを生み出し、誰も到達し得なかった新たな惑星を誕生させた――これが、今回の超大作『SILENT PLANET』だ!

 もしかしたら、タイトルは日本の音楽シーンに対するメタファーなのかもしれない。現状維持のままでは、黙っているのと同じこと。本当の意味での世界水準を日本から発信するために現れた天才が、TeddyLoidなのだ。圧倒的な才能がいま、解き放たれる!

 


BACK PAGES
ここではTeddyLoidの関連作品を一部紹介します! 2011年に柴咲コウとDOCO*27とのトリオ=galaxias!の初作『galaxias!』(ユニバーサル)を送り出した後、2014年にはいよいよソロ名義の作品も完成。ローリング・ストーンズのカヴァーも含むEP『UNDER THE BLACK MOON』(EVIL LINE)とフル・アルバム『BLACK MOON RISING』(同)を立て続け、プログレすら呑み込んだ壮大なダンス絵巻を構築します。2015年に入ると、じんの原作/脚本による「メカクシティアクターズ」のサントラやキャラソン集『美少女戦士セーラームーン Crystal キャラクター音楽集 Crystal Collection』(同)など人気アニメ絡みの作品やDAOKOとのコラボ曲を提供した『オリジナルBGMシリーズ1「日本アニメ(ーター)見本市の世界」』(スターチャイルド)に関与しつつ、9月にはももいろクローバーZのリミックス集『RE:MOMOIRO CLOVER Z』(EVIL LINE)を発表。もちろん、その間も多くの外仕事に携わっており、12月にはプロデュースで参加したBeat Buddy Boiの初ミニ作『JUICEBOX』(ソニー)が控えています! *bounce編集部