木村イオリ(ピアノ)、森田晃平(ベース)、 伊藤隆郎(ドラムス)によって2011年末に結成され、初作『HELIX』で評価を得たピアノ・トリオ、PRIMITIVE ART ORCHESTRA。約1年ぶりのアルバム『qualia』は、ほぼ木村のペンによる楽曲で占められた前作から一転、森田が全12曲中8曲の作曲に関わったほか、F.I.B JOURNAL山崎円城が2曲にポエトリー・リーディングで参加している。

PRIMITIVE ART ORCHESTRA qualia Playwright(2015)

 

【新作のコンセプトと前作からの変化】

森田晃平「音楽から浮かぶ景色の質感まで感じられる作品にしたいと思い、人が物事から受け取る主観的な体感や感覚を表す〈qualia〉というタイトルにしました。今回は録音とミックスとマスタリングをそれぞれ違うエンジニアにお願いしたのですが、作業が進むにつれてどの曲の世界観も色濃くなっていったと思います」

木村イオリ「前作は私や森田が家で作った楽曲を3人でスタジオに入ってアレンジしていく、というスタイルでしたが、今作では作曲を始める時点で3人で集まったり、同時にアイデアを出し合いながら作り上げていくことでたくさんの相乗効果が生まれました」

森田「一緒にいる時間を重ねるうちに、3人の絆やいわゆる〈バンド感〉的なものが高まってきて。それに、自分はもともとプレイヤー指向が強いので、以前は〈曲を作る〉という作業に関してハードルの高さを感じていたのですが、最近は楽しくてどんどん曲を作っていますね」

 

【収録曲について】

木村「“Night Haze”は七夕の夜に生まれました。日本やヨーロッパのジャズを参考にしながら、森田くんや隆郎くんの持ち味でもあるロック魂に火を付けたい、いや、むしろ大炎上させたいくらいのイメージで一気に書き上げました」

森田「“ACT”はイオリさんとの共作で、冒頭のハーモニクスのリフは家でウッド・ベースを弾いていて思いつきました。その後すぐに出掛けないといけなかったので、残りの構成は車の中で考えたんですが、譜面に起こす段階でそのリフが11/8拍子ということに気付いて」

木村「その森田が作ってくれた土台にメロディーを乗せました。初めはかなりアヴァンギャルドな方向性でしたが、70年代の日本のジャズを意識したメロディー作りがしっくりきて、いまの形になりましたね」

森田「“ミクリガイケ”は富山にあるみくりが池の圧倒的な美しさに感銘を受けて作った曲。ドラムのキックに同調するダイナミックな音圧が欲しかったので、エレキ・ベースはファズで歪ませています。オーヴァーダブに頼らずこの音圧が出せたことで、バンドの新たな可能性が見えました」

 

【今後の予定、グループとしての野望】

木村「本作を引っ提げてのツアーを控えていますが、さらに先の展望で言えば、壮大なサウンドと評されることが多いバンドの持ち味を活かし、屋外のロケーションだったり、映像とのコラボを含んだライヴも考えていますよ」

伊藤隆郎「このバンドは3人がよりアーティスティックに、それぞれが持つ個性を十二分に発揮できる場所だと思っています。自分から境界線を引いてしまうことなく、自由な発想で挑戦し続けていきたいですね」