ロイヤル・フィルハーモニーの演奏をバックに、エルヴィスがうたう

 生誕80年を迎えるエルヴィスの生前の歌声が、オーケストラを纏い、また新たな魅力で甦る。人々を魅了し続ける永遠に響き続ける彼の歌声。そんな唯一無二の魅力に、イギリスを代表するオーケストラ、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団がぶつかり合う、だれもが手に汗握り、固唾をのんでしまう夢の共演が実現! しかもオーケストラのレコーディングは名門アビイ・ロード・スタジオ。

ELVIS PRESLEY,THE ROYAL PHILHARMONIC ORCHESTRA If I Can Dream Legacy/ソニー(2015)

 エルヴィスの没後、彼の歌声に新しい演奏を加える作品は幾度となく発表されてきたが、そんな作品が世に出るたびに彼の歌声は聴く人に感動を与え、バック演奏との化学反応で新たな息吹を与えるということを証明してきた。21世紀の現在でもそれは証明された。特にシルクドソレイユの音楽監督がサンプリング時代の現代に新たな解釈として我々に届けた『Viva Elvis』では、“往年の”や“色褪せない”のようなエヴァーグリーン的魅力として人々の記憶に焼きついていた彼の名曲、そして歌声に、新しい価値や新しいファンを創出する結果となった。ヒット曲満載のエルヴィスのディスコグラフィの中で思い入れのある曲は人それぞれだけに、ハイライトももちろん人それぞれかもしれないが、やはり特筆したいのは4曲目《フィーヴァー》である。ジャズ、ポップス界では実力、有名度、人気ともに圧倒的な存在感を放つスーパースター、21世紀のエルヴィス・プレスリーと言っても過言ではない(この原稿にのみ言ってもいいでしょ。)マイケル・ブーブレが20世紀のスーパースター、エルヴィスと時空を超えたデュエットを披露しているのである。聴かないわけにはいかない! そして畳みかけるように続く5曲目はサイモン&ガーファンクルの特大ヒット曲のカヴァー。“キング・オブ・ロックンロール”エルヴィスが21世紀にオーケストラのシンフォニーを体に纏い、我々の前に帰って来てくれるのである。好きにならずにいられないのである。