バーンスタインが1963年に発表した傑作アルバムが、初めてオリジナル・ジャケットとともに蘇った。これはオーケストラによる20世紀中南米音楽紀行であり、その原色的な色彩や原始的なリズムをバーンスタイン&NYPがヴァイタルに演じている。注目はソプラノ独唱付きのヴィラ=ロボス/ブラジル風バッハ第5番。「G線上のアリア」の現代版のように美しい「アリア」と、南米の鳥の声を模した「踊り」からなるが、バーンスタインはわざわざ他社専属だったダウラツを起用。彼女の真直ぐな美声と知的な歌唱は、官能的な色彩を撒き散らしつつサウダージな気分を見事に描き出し、聴き手を遥かなる異郷へと誘う。