香港フィルが演奏会形式でワーグナーの『指環』4部作に取り組んでいる。その第1弾、2015年1月の序夜『ラインの黄金』ライヴは興味の尽きない聴きどころが満載だ。名伯楽デ・ワールトの後、音楽監督を務めるズヴェーデンが指揮、また晩年のマゼールが客演し名高い『言葉のない指環』でワーグナーを手ほどきしている。つまりワーグナー指揮者たちの薫陶が息づくオーケストラによる満を持したプロジェクトと言っていい。ゲルネが歌うヴォータンに何と言っても注目が集まるが、他の歌手陣も素晴らしい。ズヴェーデンの指揮はしっかりと歌を支えつつも、緩急の設計に“らしさ”が随所に窺える。「香港リング」、完成が実に楽しみ!