冬の虹、オーロラの響き。

 AMP―Ambitious Mindful Projectsというコンセプト・タイトルの頭文字で、いわゆるAMPlifyの略語、2014年に発足したスウェーデン、ノルウェーが拠点のレーベルの名称である。おそらくAMPとつけたかったのだろう、コンセプトタイトルの頭文字は後から考えたに違いない。ECMのような音楽的なコンセプト(Editions of Contemporary Music)ありきではないのではないだろうか。

ANDERS THOREN QUARTET Sources of Inspiration(featuring Lars Jansson) Amp Music & Records(2014)

 「我々はジャズに焦点をあて、特に北欧のジャズ、北欧の音楽家を中心に」制作していくとAMPのホームページにある。おもにスウェーデンのNilento Studio、ノルウェーのRainbow Studioが、制作拠点となるスタジオのようだ。スウェーデンのスタジオでレコーディングされた初のリリース、ドラマー、アンデッシュ・トレアン・カルテットのアルバム『Sources of Inspiration』と、Rainbow Studio、レコーディング・エンジニアにECMでおなじみのヤン・エリク・コングスハウグを迎えて制作された2015年リリース、レーベル二枚目のノルディック・サークルの『Winter Rainbow』(これはつまりオーロラのことか、だとしたらなかなか美しい表現)を比較してみると、前者のレコーディングにおいてもECMサウンドが聴こえ、このレーベルが欲しい音の風景が聴こえてくる。北欧の音楽家の達者な演奏と楽器の発音の美しさが存分に楽しめそうな録音である。

NORDIC CIRCLES Winter Rainbow Amp Music & Records(2015)

 野心的な音楽というより、良心的な音楽性という点においても日本で人気が集まりそうだ。前記の『Sources of Inspiration』では、すでに日本にもファンが多いラーシュ・ヤンソンがフィーチャーされており、カルテット名義のアルバムだがピアノ・トリオでの演奏も楽しめる。キース・ジャレットビル・エヴァンス・マナーファンにオススメだ。すでに発売済みのものを紹介しておくと、新人のピアニスト、ミケル・ブロックのトリオ 『First Light』、そしてテナーサックス奏者、マグナス・バッケン・カルテット『Cycles』がある。そして2016年には、日本人ピアニスト、Ayumi Tanaka Trioのリリースが予定されているようだ。

MICHAEL BLOCH TRIO First Light Amp Music & Records(2015)