〈この曲でこんなに踊り出すんだ!〉という瞬間があった
――ナガイケさんは2バンドについてどんな印象を持っていますか?
ナガイケ「〈踊らせる〉ということが、演奏するうえで自然なこととしてある気がするんですよね。昔はもうちょっとガチャガチャとラウドにやってお客さんを騒がせる、みたいな、そういう音楽がカッコイイと思われていたような気がするんですけど、(この2バンドは)自然と踊れる音楽を鳴らすことのほうがバンドとしてカッコイイと思わせてくれるというか。BPMも妙に落ち着いてるし、いきなり貫録があるなと」
コヤマ「ファストに、ラウドに、という感じじゃないよね」
ナガイケ「いきなり大人のBPMでくる感じとか、そういうところも含めて生意気だなと(笑)。しかも結成してまだ1~2年でしょ? それでこれか、と」
MOBY「でも渋みはないんだよね。俺らがそういう曲をやると〈渋いね〉と言われたりしたけど、渋みはまったくない」
ナガイケ「いまのリアルな感じとして鳴っているのがすごいよね」
YONCE「〈いい音楽が鳴ってれば踊り出すっしょ〉みたいな感じなんですよね」
ナガイケ「やっぱり憎たらしいなあ(笑)。でも、その通り」
YONCE「踊んなきゃいけない理由って、いい音楽があるからだと思うんで、〈いい音楽じゃない限りは一生踊んねえぞ俺は〉という気持ちがあるんです。だからそれが期待できるバンドでありたいと思いますね。〈踊れ!〉みたいな感じは違うと思う」
ナガイケ「自然なものとしてアレが出てきてるんだ」
YONCE「そうだと思います。Suchmosのメンバーで一時期すごく踊っていたことがあるんですよ。ドラム(OK)の実家に集まって、いろんなアーティストの昔のライヴ映像を観ながらみんなで踊っていたんで、肌に染みついてる感覚があるのかなと。やっぱり、微妙なライヴ映像だと〈座ろっか〉ってなるんですよ。なので、これはきっとそういうことだと」
――その頃にめちゃめちゃ盛り上がったライヴ映像を挙げるとしたら?
YONCE「95年にジャミロクワイが来日した時の恵比寿ガーデンホール公演の映像は超絶最高っすね。いちばん仕上がってる時期って感じで」
ナガイケ「スチュワート・ゼンダー(ジャミロクワイの元ベーシスト、98年に脱退)の頃だ」
YONCE「そうです。まだオリジナル・メンバーでやっていた頃ですね」
――SCOOBIE DOがリアルタイムで聴いていた音楽を、Suchmosは掘り返して聴いてる感じなんでしょうね。
コヤマ「ジャミロクワイですらリアルタイムではない?」
YONCE「そうっすね。高校生くらいの時に〈アシッド・ジャズがイケてる〉みたいな時期が到来して、そのなかでジャミロクワイがいちばんカッコイイなと」
コヤマ「どっちのバンドのライヴを観ても、〈この曲でこんなに踊り出すんだ〉という瞬間があったんですよ。Suchmosは〈SUNSET〉で観て、その時は“Pacific”でスロウにスタートして、その後“YMM”でベースがブーンって鳴ってカッティングが始まると、お客さんが〈オー!〉ってなる。あの火の点け方は俺らにはない。ネバヤンもさっき言った“どうでもいいけど”をやり出した時にみんな一斉に踊り出したから、〈この曲でこんな踊るんだ!〉と思って」
安倍「僕もびっくりします(笑)」
YONCE「ネバヤンのライヴの何がいいってそこだよね。パンク・バンドの来日公演みたい」
安倍「〈BAYCAMP〉に出た時もみんな頭振ってるから、〈マジかよ!〉と思って」
コヤマ「あの感じは俺らがこれまでやってきたなかでもないし、最近のフェスでよく観るような火の点け方とも違う。でもYONCEくんが言った通り、いい音楽で火が点いてる感じがするよね。それがすごいカッコイイなと思っていたんだけど、安倍くんは自分でもびっくりしてたんだ(笑)」
安倍「びっくりしますよ。そんなに頭振んなくても……もうちょっと普通でいいのに、と思います」
――オーディエンスも含めて変わってきているんでしょうね。ちょっと前までは速い曲じゃないと盛り上がらなかったりしたけど、オーディエンスの側もそうじゃないものを求めはじめていて、それが今日話したような状況に繋がってるのかなと。
マツキ「それはあるでしょうね。地方のイヴェンターさんに話を訊くと、やっぱり速くて勢いのあるバンドが好きなんですよ。若いお客さんがもっともわかりやすく乗るのは、いわゆるメロコアみたいなバンドで、みんなで飛んでモッシュする感じ。俺らが地方に行った時はそういうバンドと一緒にやらないと動員が厳しいという時期があって、無理矢理やったりするんだけど、結局お互いにとってプラスにならないからどうしよう、と考えながらここ何年かやっていた部分があった。でも、そういうなかでSuchmosやネバヤンが、速いっていうだけじゃない、自分たちの音楽を堂々とやりはじめて、しかもそれがちゃんとお客さんにも伝わってる状況は俺らも嬉しいし、安心できる。もちろん、メロコアもいいんだけど、そうじゃない音楽ももっとあたりまえに広がるはずだと思うから、いま起きていることは現象としてもすごくいいなと思いますね」
――では最後に、ライヴ当日に向けて一言ずついただけますか?
YONCE「俺らが出る日はバレンタインデーなんで、俺がいちばんいっぱいチョコをもらいます!」
コヤマ「コメントもいいねー。スターの素質があるね(笑)」
安倍「僕らはその前日ですけど、フライングでチョコを持ってくる人もいると思うんで、その日は僕がいちばんもらいます(笑)」
コヤマ「そういう話になるよね(笑)。まあ、今日話をしてみて、まず音楽でシンパシーを感じていたけど、それ以上にスピリッツの部分でシンパシーを感じましたね。なので、俺たちのファンで名前は知っているけどライヴを観たことがない人も絶対好きになると思うし、Suchmosとネバヤンはその場にいる全員を虜にするつもりでライヴをしてくれたらと思います。で、俺らはそれをさらに上回るライヴをします!」
SCOOBIE DO presents〈Young Bloods〉
★2月13日(土)Young Bloods vol.1
@東京・下北沢SHELTER
SCOOBIE DO/never young beach
OPEN 18:30/START 19:00
★2月14日(日)Young Bloods vol.2
@東京・下北沢SHELTER
SCOOBIE DO/Suchmos
OPEN 17:30/START 18:00
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