メジャー復帰後初となる6年ぶりの新作では、小林武史が共同プロデュースを受け持つという意外な展開が待っていた。そんな今作を本人は〈剥き出しのスガシカオ〉だと語っているが、いつも以上に攻撃性を重視した楽曲を多く用意していたのがまず驚きだったし、彼の挑発に嬉々として応えるかのように超挑戦的な小林のアレンジにも唸らされる。グニョグニョなサイケ感を醸し出す“青春のホルマリン漬け”などファンク系は粘着質が著しく高くてトリップ感もかなりのもの。でも最大の聴きどころはスガの巧妙すぎるストーリーテリングかも。胸が痛くなるような前進宣言が歌われた“ふるえる手”など、次々に繰り出されるソリッドなフレーズがこちらの気分をメッタ切りにしていく。こりゃヤバい。