ワイルド・サイドを行く同時代の才能たち

COURTNEY BARNETT Sometimes I Sit And Think, And Sometimes I Just Sit Milk!/TRAFFIC(2015)

シンガー・ソングライターだが、グランジ成分多めのバンド・サウンドで投げ出すように歌う、青い瞳のコートニー・バーネット。荒ぶるギター・リフと、やさぐれと叙情の間を行き来する歌い方に真実を宿すあたりが、松尾との共通項か。

 

Drop's WINDOW STANDING THERE, ROCKS(2015)

女子5人組によるライヴの熱を見事に盤に反映させた3作目。60~70年代のオーセンティック・ロックをルーツに持ちはするが、きっぱりと〈反懐古主義〉。2010年代のリアリティーを持った音と歌を生々しく、そして言葉もハッキリ聴かせるのがGLIMと共通するところだろう。

 

ELLE KING Love Stuff RCA(2015)

いま世界でもっとも松尾の歌声に近い歌手と言えばズバリこの人。グラミーの〈ベスト・ロック・パフォーマンス〉部門などにノミネートされているLA出身の26歳で、歪んだギターに絡ませるハスキーなダミ声の迫力が凄い。ブルース・ロックからカントリーまで曲調も幅広く、GLIM好きは必聴だ。

 

WOLF ALICE My Love Is Cool Dirty Hit/HOSTESS(2015)

先頃の単独来日公演では、2015年の〈サマソニ〉出演時からの著しい成長を感じさせたUKの4人組バンド。エリー・ロウゼル(ヴォーカル)のクールさとワイルドさの瞬間的な切り替えや、ある種の妖気を漂わせながらもポップに音を放つそのやり方が、GLIMとの共通項。

 

TAME IMPALA Currents Fiction/HOSTESS(2015 )

60年代サイケデリアを継承しつつ、2010年代のモダンな音にして鳴らすことのできるバンドの3作目は、シンセとファルセットと音響によってダンス方面に急接近。なお、前作『Lonerism』は中期ビートルズ的なサイケ感も有していて、GLIMもその手法に影響を受けたところあり。

 

GARY CLARK JR. The Story Of Sonny Boy Slim Warner Bros./ワーナー(2015)

ミック・ジャガーBB・キングといった大物がこの男をステージに招いたのは、彼が先達へのリスペクトを保ちつつもガレージやライト・ソウルなどの要素を現代的に取り込んだギターを聴かせるから。それは、亀本寛貴にも見受けられる姿勢だったり。

 

GLIDER STAGE FLIGHT SPACE SHOWER(2016)

GLIMとはインディー時代に何度も共演しており、2人にとっては同士とも言える日本の4人組。1年半ぶりとなるこの2作目は、定評あるソングライティング力にますます磨きをかけ、ビートルズやELOに通じるサウンド&ハーモニーもキラリと光る。70sロックの香り、プンプン。

 

NOTHING BUT THIEVES Nothing But Thieves RCA/ソニー(2015)

新世代UKバンドの大本命と言われる平均年齢22歳の彼らは、いまのUKのロック・シーンには珍しくドラマティックかつ明快なメロディーと歌の力で堂々勝負。GLIMもそうだが、猪口才な仕掛けなど一切せず、しなやかな野生で衝動を音にしているのがいい。