Page 2 / 3 1ページ目から読む

DIIV

 ビーチ・フォッシルズの元ギタリスト……と書くよりも、〈スカイ・フェレイラの恋人〉という枕のほうがしっくりくる(!?)ザッカリー・コール・スミス。ここ数年は、本業の話題ではなく、下世話なネタばかり目に付きましたからね。ですが、ようやく彼が重い腰を上げました。そう、ザッカリーのソロ・プロジェクト=ダイヴが4年ぶりに帰還したのです。

DIIV Is The Is Are Captured Tracks/インパートメント(2016)

 インディー好きの心を瞬時に掴んだネオ・サイケ×サーフ・ポップな前作『Oshin』の成功法は、ニュー・アルバム『Is The Is Are』でも活かされ、変化よりも深化の道を選んだ印象。持ち前の甘く切ないメロディーに意識が遠のくほどディレイをまぶし、イマの視点でジーザス&メリーチェインに真っ向勝負を挑んだような内容です。うまく表現できないけど、ドラムスガールズが描いてきた〈青春〉のさらにその先にある〈夢の国〉へ、とうとう足を踏み入れてしまった感じ。ゴシップを逆手に取ったカノジョとの退廃的なデュエットも、ズルイくらいにキマッています。逮捕&謹慎中にキャプチャード・トラックスの顔役をマック・デマルコに奪われましたが、本作でそのポジションを取り戻すこととなるでしょう。厳しい状況に腐らず、よくぞ耐えた! *保坂隆純