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着実にステップアップしてきた4人の歩み

 結成後の初音源集『ラベンダー カバー The ROCK』(2013年)の頃はもちろん、オリジナル曲を意欲的に発表するようになった頃と比べても、バンドとしての一体感を増したLoVendoЯの飛躍的な成長ぶりには目覚ましいものがある。初のオリジナル曲集となった『不器用』(2014年)には魚住有希の作曲したブルージーな“むせび泣く”が収められ、続く『イクジナシ』(2014年)には宮澤茉凜のペンによるメタリックな“UNDERGROUNDER”が収録されていたが、そうした創作と並行してライヴの作法も試行錯誤を繰り返した結果、田中れいな持ち前のアイドル性を活かしつつ、いわゆるガールズ・バンド的な典型に収まらない個性の融和したLoVendoЯの流儀が定まってきたのだ。

2014年作『不器用』収録曲“むせび泣く”

 

 その時点でハード・チューンから歌謡ロック、パワー・ポップまでバンドのレパートリーは広がっていたが、メジャー・デビュー・シングルで披露したつんく作詞の粘っこいファンク・ロック“普通の私 ガンバレ!”(2015年)などはバンドの軸が定まったからこそ取り組めたポップなチャレンジと言えそうだ。今回のニュー・シングルでは、ブリティッシュ風味な“宝物”を書いた魚住が、ウェットなカップリングの“カレーライス”(岡田万里奈の作詞した不倫ソング)では編曲も担当。田中×宮澤コンビによる“YELL~あなたに贈る~”も闇の住人らしからぬ宮澤の明るいアレンジが光る。各々の自作曲にはライヴですでに披露されているものも多く、今後の音源化も楽しみなところだ。

2015年のシングル“普通の私 ガンバレ!”

 

 なお、ギタリストの2人はすでに外部のサポート演奏なども行っており、特に魚住はアンジュルムのシングル“出すぎた杭は打たれない”で作曲/編曲を担当するなど、個々のキャラクターによって今後はバンド以外でも4人の活躍を目にする機会はさらに増えていくことだろう。 *出嶌孝次

アンジュルムの2015年のシングル“出すぎた杭は打たれない”