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『Hurt & The Merciless』が情け容赦なく喰らいつき、共鳴してみせたサウンド・フレイヴァーを勝手に分析! 

THUNDERBITCH Thunderbitch Rough Trade/HOSTESS(2016)

ヘヴィーの良きライヴァル、アラバマ・シェイクスが今年のグラミーを席巻した事実は、ヴィンテージな鳴りのロックがメインストリームで支持されている大きな証拠と言えるだろう。そのアラバマでフロントを張るブリタニーの覆面バンドが放った本作も、期待通りファットなロックンロールの大洪水。

 

LED ZEPPELIN Led Zeppelin II Atlantic(1969)

本文にもある通り、活動初期からたびたびツェッペリンと比較されてきたため、ヘヴィーのメンバーはウンザリしているかもしれないが……。英国人らしい距離感と憧憬を抱きながらUS南部音楽を咀嚼し、それを激グルーヴィー&ハードなロックに落とし込む手法は、やはりこの大先輩と物凄くよく似ている。

 

SCREAMIN' JAY HAWKINS At Home With Screamin' Jay Hawkins Epic/Hoodoo(1958)

棺桶から出てくるパフォーマンスで人気を博したリズム&ブルース歌手。ジム・ジャームッシュ映画の大ファンだと公言するケルヴィンとダニエルは、当然ここを通っているはずだ。ほら、新作収録曲“A Ghost You Can't Forget”の効果音で確認できる古臭いホラー風情なんてモロだし。

 

ENNIO MORRICONE Il Mercenario United Artists/GDM(1968)

タランティーノ最新映画の予告編でヘヴィーの曲が流れていたのも記憶に新しいが、本作はそのタラ作品を機に再評価された一枚。新作での“Miss California”や“Nobody's Hero”におけるいかがわしいマリアッチ感覚が、モリコーネ製の同テーマ曲などマカロニ・ウェスタンのサントラに由来していることはまず間違いない。

 

TORONZO CANNON The Chicago Way Alligator/Pヴァイン(2016)

『Hurt & The Merciless』の随所で顔を出すブルース志向に共感した方は、シカゴのエレクトリック・ブルース界を背負って立つこのギタリスト/シンガーをぜひチェックしてみてほしい。ジミヘン的なゴリゴリのサイケ感と70sソウルのテイストが無理なく同居した彼の新作もまた、先日リリースされたばかり。

※試聴はこちら

 

THE SONICS Here Are The Sonics!!! Etiquette/Norton(1965)

新作全体に漂うささくれ立った雰囲気というか、リズム&ブルースを下敷きにしたワイルドなガレージ感は、やはりソニックス譲りか。良い意味でガサツな演奏、荒っぽいシャウト、生々しい音質――本作はすべてにおいてレヴェル・オーヴァーな、一家に一枚の大名盤。ケルヴィンが好物と語るのも聴けば納得。

 

MITCH RYDER & THE DETROIT WHEELS Breakout...!!! New Voice/Parlophone(1966)

自動車とソウルの街、デトロイトの空気を思いっきり吸い込んだミッチ・ライダーの迫力満点な黒いロックンロールは、後進に多大な影響を与えてきた。そして、代表曲〈悪魔とモリー〉を収録した猥雑極まりない本2作目の誕生から50年、ヘヴィーも“What Happened To The Love?”あたりでそのスタイルを継承。

 

DYKE AND THE BLAZERS We Got More Soul: The Ultimate Broadway Funk Ace(2007)

ジェイムズ・ブラウンと並ぶファンキー・ソウルの代表格。ヘヴィーは2009年に“How You Like Me Now?”でこのグループの曲を大胆にサンプリングしていたけど、今回はネタとして使うのではなく、跳ねるリズム、パーカッシヴなホーン隊、張りのある歌声など、生演奏で彼らに敬意を表している!?

 

KING KHAN & THE SHRINES Idle No More Merge(2013)

地下シーンでカルト的な人気を誇るインド系カナダ人のキング・カーン率いるこのバンドは、ガレージ・ロックJB的なファンク・マナーを採り入れたソウルフルなサウンドが身上。めざす方向はヘヴィーと同じか。似たテイストのグループとして、デトロイトのダートボムズもここでオススメしておきたい。