FEELS LIKE FIRE!!
耳で聴いたピープル・トゥリー
サンタナをめぐる音楽の果実は、ここに一本のトゥリーを生んだ

MALO Malo Warner Bros.(1972)

カルロスの実弟、ホルヘが率いるこのラテン・ロック・バンドは、サンタナよりも軽やかでソウル色濃厚。特にコーク・エスコヴェードの助力も光る本作は、極上のチカーノ・メロウ“Suavecito”ほか、DJ諸氏から大人気だ。なお、ホルヘが78年に発表したソロ作もライト&メロウなAORテイストの名品につき、併せてぜひ。 *北爪

 

MICHAEL JACKSON Invincible  Epic(2001)

本作収録の“Whatever Happens”で主役の物憂げな色気を、ラテンの哀愁で引き立てたカルロス。2003年にはMJ主導のチャリティー曲にも招かれ、「次は俺の作品でプリンスとMJを共演させるぞ!」と宣言。同年にカルロスはオリアンティと会い、彼女は数年後……と接点も多かっただけに、みんなの長年の夢を叶えてほしかったな。 *山西

 

クレイジーケンバンド SOUL PUNCH Almond Eyes(2005)

ベイエリアの不良たちによる雑食バンドという共通項もあるが、実際に本作で聴ける“フジヤマ・キャラバン”はモロに“Black Magic Woman”調。また、過去には“Corazon Espinado”をネタ使いしたり、名曲“秋になっちゃった”でサンタナ・マナーを踏襲したり。小野瀬の官能的なギターもカルロスを思わせる。 *北爪

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THE JIMI HENDRIX EXPERIENCE Electric Ladyland MCA(1968)

かつてジミヘン“Spanish Castle Magic”をカヴァーし……などと直接的な例を挙げずとも、カルロスがこの人から影響を受けているのは明白。人の声帯を模写したような奏法なんてどうだ。それにしても、ジャズやブルースをはじめ、幾多のジャンルを跨ぐことが〈ウッドストック〉世代にとってはあたりまえだったみたいで。 *北爪

 

MANA Cama Incendiada Warner Latina(2015)

メキシコはグアダラハラ出身のロック・バンド、マナを知ったきっかけは『Supernatural』だという方が圧倒的に多いのでは? かつて師匠も絡んだシャキーラを招いての牧歌的なバラードなど、この最新作でも伝統とモダンが絶妙に調和した味わい深いポップ・ナンバーを聴かせてくれる。サンタナの正しき後継者たち。 *桑原

 

JOHN COLTRANE A Love Supreme Impulse!/ユニバーサル(1965)

カルロスによる“A Love Supreme”のカヴァーは、〈あなたにもっと近付きたい〉という切なる思いが滲みまくりで胸が熱くなる。アリス・コルトレーンとカルロスの共演作『Illuminations』にもそんな至上の尊敬の念が浮かんでいたっけ。そうそう、ご夫婦の三男坊=オランは90年代にサンタナ入りしていたことも。 *桑原

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SHEILA E. Icon Moosicus(2013)

ピート・エスコヴェードの愛娘で、幼い頃から父や叔父の舞台に立ってきたシーラ。カルロスからの信頼も厚く、サンタナがケネディ・センター名誉賞を受賞した際の祝賀公演ではオリアンティとオープニングを任されたり。この最新作で聴ける泣き濡れラテン歌謡は、アステカというよりサンタナっぽいです。 *山西

 

VARIOUS ARTISTS Re-Machined: A Tribute To Deep Purple's Machine Head Eagle Vision(2012)

サンダースBBの両キングに憧れてブルースを演奏していたカルロス少年が、デカイ音でアグレッシヴにロック化していく途中、ハード・ロックへ接近したのは自然な流れ。本作では“Smoke On The Water”を披露し、ギター初心者の練習用として親しまれてきたあのリフにド級のアドリブを加え、弾きまくり泣きまくり。 *山西

 

GRUPO FANTASMA Problemas Nat Geo/Pヴァイン(2014)

プリンスのツアーに同行し、2010年作『El Existential』でグラミーも獲っているオースティンのラテン・ファンク楽団。本作では、カルロスの手引きでブレイクへの糸口を掴んだロス・ロボスのメンバーに指揮を委ね、ロック度がグンと上昇。サンタナの初作を愛する人なら、ジャム・バンド風情の“Solo Un Sueno”で踊るしかない! *山西

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LAURYN HILL The Miseducation Of Lauryn Hill Ruffhouse/Columbia(1998)

本作からシングル・カットされたカルロス客演曲“To Zion”が、『Supernatural』での大復活の布石に。母になった喜びを力いっぱい歌に込めるローリン、そんな彼女をいつになく控えめ&優しいギターが祝福しているかのよう。ボブ・マーリーを介して結ばれたこの縁がワイクリフへと続き、99年以降、両者は幾度となく共演を重ねていきます。 *山西

 

野口五郎 45th Anniversary & The 60th birthday Goro Noguchi Concert 渋谷105 avex trax(2015)

ひろみ秀樹によるラテン・ポップのカヴァーに対抗すべく、五郎が選んだのはサンタナ“Smooth”。これがネタ的な感じに終止しなかったのは、本家への愛でメラメラ燃えていたから。歌よりもギター・ソロに力を注ぐ姿は本DVDでも確認可能です。ちなみに、2014年にインストで披露した久保田早紀“異邦人”もサンタナ度バリ高。 *山西

 

GABOR SZABO Spellbinder Impulse!(1966)

カルロスはこのハンガリー生まれのジャズ・ギタリストから、ギター表現の可能性について学んだことを公言。サンタナもカヴァーした恩師の代表曲“Gypsy Queen”ほか、本作にはラテンやインドのスパイスを効かせた無国籍感満点のナンバーが多く並んでいる。どうにもカテゴライズし難い、不思議な顔をした一枚だ。 *桑原

 

SNOOP DOGGY DOGG Doggystyle Death Row(1993)

チカーノとアフリカン・アメリカンの対立が西海岸で激化している状況を、2006年の“Vato”にて嘆いていたスヌープ。殺人容疑とかギャングがどうとか物騒な話題の多い本作でも、サンタナ“Fried Neckbones”をネタ使いして隣人に敬意を表明(!?)。余談ですが、MCレンも“Bangin' In L.A.”で同曲をサンプリングしています。 *山西

 

TITO PUENTE El Rey Bravo Tico/Malanga(1962)

NY生まれのマンボ・キング。〈僕のリズムを聞いとくれ〉との邦題でも知られる本作収録の“Oye Como Va”は、サンタナがカヴァーして世界中に広まった一曲だ。ティトはそのことをずっと感謝し続け、ライヴで演るたびにサンタナの名を出していたそう。なお、『Santana III』の最終曲も御大の書いたもの。 *桑原