『More Than 8』に至るまで

 本文にもあるように、LORD 8ERZのトラックが初めて世に出たのは、限定リリースされた漢のミックスCD『HURTFUL』(2012年)に収録されたエクスクルーシヴ曲のビート。そう考えるとDJとしての履歴に比べてまだまだキャリアは浅いものの、初仕事に前後してICE DYNASTY周辺を中心にいくつかのビートが起用されはじめて以来、その名を見る機会は急速に増えはじめていった。

 BANG BLACKSKNZZJUNY THE DOPE BOYらの作品にプロデューサーとして参加し、nabeproのミックス作品ではFebbのフリースタイルにビートを提供したりもしているが、大きかったのはライヴDJも務めた三島 a.k.a 潮フェッショナルの哀愁チューン“提灯(GATTEM MIX)”だ。三島とは『金と女と大東京』収録の“Don't Stop Party”でも絡み、それら馴染みの人脈も織り込んで仕上げたのが2015年頭の初作品『8ERZ EP』だったわけである。

 同作にはその三島やFebb、RAW-Tといった盟友たちを中心に、KOHHSQUASH SQUADも駆けつけ、特に“VISION WITHOUT ACTION IS JUST DREAM”では今回の『More Than 8』に繋がる内容をPONYがラップしているのが興味深い。以降はGOKU GREENの“Nike”も手掛けていて、今後は自作はもちろん、振り幅の広い作風を活かしたプロデューサーとしての飛躍も大いに期待できるだろう。 *出嶌孝次

2015年作『8ERZ EP』収録曲“O.D.P”