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さまざまな方向で〈らしさ〉を追求してきたミツメのこれまで

 それぞれ異なる作風でありながら、どの作品にも〈ミツメらしさ〉が込められている――そんなミツメのディスコグラフィーをここに紹介したい。

 記念すべき初作『mitsume』は、ノスタルジックな描写が印象的なギター・ポップ作品で、そのリヴァーブが効いたローファイな音響は、同時代のUSインディー勢とも共振。続く2作目『eye』は、コード数を抑えたミニマルな構成と、アナログ・シンセを使ったアレンジが鮮烈な一枚。 また、この『eye』以降の作品はすべて、盟友のエンジニア、田中章義が所属する〈スタジオ・グリーンバード〉でレコーディングされており、プロダクションの質もグッと向上している。

2012年作『eye』収録曲“煙突”
 

 初のシングル盤“うつろ”は、ビーチ・ポップ風の陽気なギター・サウンドが心地良い4曲入り。そして3枚目のフル・アルバム『ささやき』では多重録音に挑戦し、ライヴ時の演奏とはまた違った厚みのある音像を構築している。その反動か、最新シングル“めまい”では4人編成の演奏を改めて追求。スカスカのアンサンブルが実にスリリングな一枚となった。 *渡辺裕也