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PLAID
人の温かみと進化するテクノロジー、その合流地点を美しく描く!

 プラッド――その昔、日本ではプレイドと呼ばれていた――はケン・ダウニーとのトリオ、ブラック・ドッグ・プロダクション(以下BDP)として93年に名作『Bytes』を発表し、世のテクノ好きに認知されたわけだが、その『Bytes』のリリース元であるワープからいまも作品を出し続けているなんて、素敵な話じゃないか。92年の同名コンピよりスタートし、レーベルの名物企画となった〈Artifical Intelligence〉シリーズの常連でもあるBDPは、デトロイト・テクノを知的に解釈したインテリジェント・テクノ路線を歩み、そしてアンディ・ターナーエド・ハンドレイの2人体制になった後も、知的でクールな電子音楽を奏でてきた。

PLAID The Digging Remedy Warp/BEAT(2016)

 しかし2年ぶりのニュー・アルバム『The Digging Remedy』は、田舎の一軒家にある家庭菜園前で撮影されたようなアーティスト写真が示唆する通り、オーガニックで温かい感触を湛えている。2011年作『Scintilli』での牧歌的な雰囲気を拡張したとも言えそうな“Melifer”“Lambswood”“Held”という、アコースティック・ギターやフルートなど生楽器を使用したトラックのみならず、レイヴィーでハードなシンセ・リフが印象的な“Clock”、レイドバック気味のヒップホップ調“The Bee”、デトロイト・テクノな“Reeling Spiders”“Yu Mountain”ですら、耳触りはどことなく柔らかだ。

 レイヴの流れから生まれた狂躁的なハードコア・テクノのカウンターとして、かつてインテリジェント・テクノが登場したように、EDM以降の巨大ダンス・ミュージックがメインを張る現行シーンにおいて、彼らがこうしたアルバムを作ったことは非常に興味深い。

 


ワクワクの〈Warp Campaign 2016〉が始まるよ!
長きに渡ってレーベルを支えてきたエイフェックスとプラッドのニュー・リリースを記念して、7月8日から8月31日まで〈Warp Campaign 2016〉が開催。その2作品や、下にジャケを並べているここ最近の話題作をいずれかゲットすると、クリア・ファイルがもらえるほか、レアなアナログ盤が当たるチャンスも! この夏はみんなでワープ漬けになろう! *bounce編集部