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スウェーデンの精鋭が集うイングリッドとは?

 前作『Gimme Some』からの5年間、PB&Jの音楽面にもっとも影響した出来事と言えば、やはりイングリッドの旗揚げでしょうか。ストックホルムにあるこのスタジオ兼レーベルは、PB&Jの3人に加え、マイク・スノウリッケ・リー、元テディベアーズヨアキム、そして安室奈美恵デミ・ロヴァートにも曲提供しているココ・モリエが2012年に共同で立ち上げたもの。アマンダ・ジャンセンら地元のシンガーから、フランツ・フェルディナンドクリッシー・ハインドといった国外のスターがレコーディングで訪れ、メンバーたちはプロデュースにエンジニアに楽器演奏に……と各作品で腕を振るっています。ビヨーンが指揮を執ったプライマル・スクリームの2016年作『Chaosmosis』も、もちろんイングリッド録音。さらに、以前からちょこまか他者に曲を贈ってきたビヨーンですが、2012年以降はブランディクール・ド・ピラーテカイゴほか、ソングライター業を活発化させている点も見逃せません。

プライマル・スクリームの2016年作『Chaosmosis』収録曲“Where The Light Gets In”
 

 このようにヒット請負人として、いままで以上に広い意味でのポップ・ミュージックと密に関わってきた経験が、複数のプロデューサー体制による『Breakin' Point』へと繋がったことはあきらかでしょう。なお、本作に参加したパトリック・バーガーのスタジオは、イングリッドの数ブロック先に建っているようで……この街が音楽シーンを牛耳る日も遠くはない!? *山西絵美